Project/Area Number |
22K20111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0106:Political science and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片桐 梓 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (40964672)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | audience cost / credibility / Vietnam War / Berlin Crisis / conflict escalation / crisis escalation |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ケネディ政権におけるベルリン危機及びベトナム介入に関する米国外交文書の統計的分析を行い、国際紛争過程において、政治指導者がなぜ強硬な姿勢を取り続けざるを得なくなり、結果として紛争をエスカレートさせてしまうのかという、紛争研究の根幹に関わる問題を実証することを目的としている。観測データによる聴衆コストの実証研究として、実際の政策決定者の議論や認識を直接的に扱い分析する。その上で、外的妥当性の問題を改善するために、ベルリン危機のケースに加えて、ベトナムへの介入過程のケースを分析することで、研究としての完成度を高めていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ケネディ政権におけるベルリン危機及びベトナム介入に関する米国外交文書の統計的分析を行い、国際紛争過程において、政治指導者がなぜ強硬な姿勢を取り続けざるを得なくなり、結果として紛争をエスカレートさせてしまうのかという、紛争研究の根幹に関わる問題を実証することを目的としている。とりわけ、従来の観測データに基づく実証研究では直接的に特定することが難しかった聴衆コストそのものではなく、その前段階の密接に関係のある概念として、紛争行動における政策決定者の「信頼性が損なわれることへの懸念(credibility concerns)」を提案する。credibility concernsが現実のものとして具体化し、その結果、政策決定者が負担する政治的コストが聴衆コストであるならば、このcredibility concernsは、危機交渉の最中において政策決定者が譲歩することを妨げる要因となりうる。その上で、この概念を政策文書の中から抽出し、機械学習を用いて計量化することで、危機下において強硬策を打ち出した後に、政策決定者がどういう条件の下、何をきっかけとして自らの信頼性への懸念が高まるのかを分析する。これは、観測データによって、政策決定者が聴衆コスト(Fearon 1994、Schultz 2001、Smith 1998)が発生しうることの認識するメカニズムを直接的に実証する研究として、インパクトの大きい研究になると考えている。この問題意識に基づき、本研究では、既に完了しているベルリン危機のケースに加えて、外的妥当性の問題に対処するために、ケネディ政権におけるベトナムへの介入過程のケースを分析することで、研究としての完成度を高めることを最大の目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のcredibility concernsが、どのような条件や事象をきっかけにして認識されるかという問題については、私の博士論文の中で1961-1963年のベルリン危機の文書を用いて既に着手している。この論文によれば、政策決定者が自らの公の場での強硬発言を踏まえた上で、自らの信頼性への懸念を抱くのではなく、敵国の挑発的言動のみが影響しているということが明らかになった。これは、従来の聴衆コスト理論が想定しているメカニズムとは真逆の結果であり、非常に興味深く議論を呼ぶものではあるが、更なる慎重な検討が必要である。このcredibility concernsがどのように、いかなる条件で政策決定者に認識されるのかという実証課題を、同じくケネディー政権下のベトナムへの段階的介入のケースに適用して、言わば追試を行う必要があり、今回の研究スタートアップ科研費のご支援を受け、現在鋭意分析を行なっているところである。昨年秋から本研究を再開したため、まだ結果を得るところまでは至っていないが、今年度の早い段階で分析結果を固めた上で、国際学会で発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、鋭意分析を行なっており、まだ結果を得るところまでは至っていないが、今年度の早い段階で分析結果を固めた上で、国際学会で発表する予定である。なお、機械学習の適用に関して、自らの統計プログラムによって政策文書を分類することに加えて、chat GPTのような生成系AIに文書を分類させ、人間の分類と比較することも行う予定である。
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