Project/Area Number |
22K20147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
阪東 峻一 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 助手 (20962054)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 戦間期 / 三菱 / 三菱倶楽部 / 新中間層 / 余暇活動 / 消費社会 |
Outline of Research at the Start |
既存の日本経済史研究は、生産サイドの成長分析に重きを置き、日本経済の発展経緯や社会制度の研究が進められてきた。一方で、近年になり、消費研究の熱が高まり、戦間期の消費社会の姿が明らかにされつつある。しかし、担い手であったと推察される新中間層の消費行動は不十分であり、更なる研究が望まれる。 本研究は、戦間期の消費社会の様相を知るために、三菱系企業の社員からなる三菱倶楽部(後の三菱養和会)の活動に注目して、新中間層の余暇活動の実態を解明する。新中間層が戦間期の消費社会に与えた影響は、デパートや郊外電鉄が知られるが、三菱倶楽部の活動実態の解明は、広くは戦間期の消費社会の様相を明らかにできる。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず、史料収集などを行った。図書館や関係文書館で、関係する史料(三菱倶楽部が発刊していた会報)の複写などを行った。すでに倶楽部が発刊していた史料の大方を集めることができた。 次に、研究指導者に史料収集状況を報告して、今後の研究の進め方について、指導や助言を受けた。研究対象の組織は、1910年代から1940年代まで数十年にわたる活動実績があった。この期間、日本経済は重化学工業化が進み、三菱グループの状況も大きく変化した。 倶楽部が誕生した背景には、三菱が大企業グループに成長したことと大きく関係していた。倶楽部という一組織の狭い範囲の研究だけでは、分析の視野が狭くなってしまうので、三菱グループ全体に関係する先行研究や当該企業にかかわる社史などの関係書籍の購入も行った。広くは、三菱グループの経営史を把握することで、研究を始めるために必要な基礎固めに力を入れた。 同時に、分析対象である倶楽部に絞って、倶楽部組織が誕生した背景や設立経緯などを分析した。倶楽部組織の全体像を大きく捉えることから調査を進めている。また、数十年にわたる活動実態があるので、倶楽部の様相も変化したようである。それを知るために、基礎資料となるデータベース(年表、活動場所、活動内容)を作成するなどしている。加えて、時代ごとに区切って、組織の活動の特徴をつかむなどしている。これまでの調査で、活動の最初期は活動拠点が大都市中心であったが、その後は全国の支店や事業所などへ広まっていった様子が分かってきた。倶楽部は社員による自主的な文芸とスポーツの活動が行われていたが、活動内容の多様化が進んだことも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三菱倶楽部は、数十年にわたる活動実態があり、史料が膨大である。史料には、様々な情報が記されている。まずは史料の記載内容の分類を行う必要がある。そして、研究者が研究テーマに掲げた内容のみを抽出する必要がある。膨大な史料からの必要な情報の取捨選択に、やや時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の三点に分けて研究を進めていく予定である。 一点目は、三菱倶楽部の活動を推進した中心的な人物を明らかにすることである。三菱倶楽部の活動は多くの社員が参加した組織的な活動ではあったが、その活動を担った中心的な社員がいたと推察される。人物を把握して、倶楽部活動に対する取り組み姿勢や思想などに注目するとともに、その人物像の解明を行う。 二点目は、三菱の経営者側の動向である。三菱の経営者側や企業側の思惑や思想に着目して、倶楽部活動は黎明期の日本的経営的の取り組み事例であったのかも検証を行う。つまり、倶楽部の活動は、勇志社員中心の独立した単なる余暇活動であったのか、それとも三菱の経営者側や企業側が倶楽部への一定程度の理解があり、倶楽部活動に対して経済的または物理的な援助などが行われたのかについても明らかにする。 三点目は、三菱の経営者側と三菱倶楽部の活動を担った社員との関係性の変化である。大企業に成長していく三菱の企業組織中で、三菱倶楽部活動は、企業グループの発展にどのような相互作用をもたらしたのか、についても注目したい。つまり、企業の成長に三菱倶楽部の活動は何らかの貢献があったと考えるのが当然ではあるが、その内実を解明したい。
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