金融危機時の自信過剰な経営者の投資行動:日本の非金融企業の分析
Project/Area Number |
22K20153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
石黒 武秀 秋田大学, 教育文化学部, 助教 (90944736)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 経営者の自信過剰 / 経営者予想 / 金融危機 / 現金保有 / 銀行によるコーポレートガバナンス / 自信過剰な経営者 / 設備投資 |
Outline of Research at the Start |
これまでの研究から、自信過剰な経営者は1)楽観的に将来を見積もることから投資を積極的に行うことと、2)資本コストを高く見積もることから投資水準よりも内部資金が少ないときに投資を控えて内部資金を充実させようとすることがわかっている。本研究では、自信過剰な経営者が資金調達が困難になったリーマンショック時に投資を控えるかどうかについて検証する。また、日本ではリーマンショックをはじめとする金融危機時に銀行が積極的な融資を行ったことから、海外の研究では見られない、銀行がが自信過剰な経営者の経営行動をどのように変化させたという分析結果がみられるかもしれない。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、経営者による純利益予想と当期純利益の差を用いて、経営者の自信過剰を測定し、リーマンショックによって自信過剰な経営者の経営行動が変化するかどうかについてアーカイバルデータを用いて検証した。また、日本の経済の特性を考慮し、メインバンクシステムが自信過剰な経営者の積極的な経営行動を抑制するかどうかについても検証した。本研究の検証結果は1)自信過剰な経営者がリーマンショック時に、積極的な設備投資をやめ、内部資金をためようとすることと、2)銀行が自信過剰な経営者に対するコーポレートガバナンスを発揮させ、積極的な設備投資を抑えることを示した。本研究は、Malmendier and Tate (2005)の理論モデルが示唆した、自信過剰な経営者が企業に十分な資金があるときに積極的な投資を行い、外部からの資金調達が難しい時のように企業の資金が十分ではないときに投資をやめ内部資金を充実させようとするということを、外部からの資金調達が難しいリーマンショック時のデータを用いて示すことができた。また、本研究では、自信過剰な経営者がコーポレートガバナンスに従うことを、日本の伝統的なステークホルダー重視のコーポレートガバナンスにおいてもみられることを示した。これらの学術的な貢献は、自信過剰な経営者の経営行動を予測することで、投資家や経済アナリストによる経済の将来予測に役立つ。さらに、自信過剰な経営者の経営行動が銀行によるコーポレートガバナンスによって管理できることを示すことで、コーポレートガバナンスの制度設計に役立つと考えられる。以上の研究結果は、2022年6月に発行されたJournal of Asian Finance, Economics and Businessの9号6巻に手発表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では自信過剰な経営者が、金融危機時に積極的な経営行動をやめ、現金保有を強めるかどうかを検証した。さらに、銀行の影響が強い企業においてこの傾向が強いかどうかについて検証した。この研究目的を達成するために、東証一部上場企業のデータから、分析を行い、分析結果を海外の査読付きジャーナルへの投稿を目指した。 これらの研究成果を挙げるために、1年間の時間を要すると計画していた。本研究は研究費の支援を受ける前にパイロットテストが終了していた状況であったため、追加の分析を行うことで分析結果の頑健性を高め、論文雑誌への投稿準備を行う予定であった。しかし、この追加分析の終了後に論文投稿を行った後に、この論文が予定よりも早くアクセプトされたため、計画よりも早く成果が出た。また、この研究成果から日本経済における銀行の影響の強さが析出されたことから、後述するように新たな研究課題が生まれた。 今後の推進方針にて詳しく記述するが、新しい研究課題として銀行の意思決定の日本企業への影響を検証していくことを計画している。そのために東証一部上場企業のデータのデータを用いた分析を行っており、今後1年間で査読付き論文への投稿を目指して投稿準備を進めている。しかし、新たな研究課題に対して、論文の執筆がほとんど終了したものの、これから査読プロセスに入ることや、査読プロセス中の追加分析などが必要であることから、研究期間の延長が必要であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに支援を受けた研究において、自信過剰な経営者の経営行動が銀行によって抑えられていることを示した。このことから、日本において銀行が強い影響力を持っていることがわかる。私は、この研究から新たな疑問として、銀行の意思決定が企業の行動にどこまで影響を及ぼすかについての検証を深めていく必要があると考えた。もちろん、先行研究において、銀行(特にメインバンク)が融資先の企業の経営行の効率化や情報開示の充実を行ってきたことはよく知られていることである。しかし、銀行が負債の返済が滞っている企業に融資をし続けたゾンビ企業問題を引き起こした最中の企業の経営行動や情報の影響がいまだに検証が進んでいない。そこで、私の研究では、ゾンビ企業の経営行動や情報開示の状況についての研究を進めていくことに研究計画の修正を行った。 今後の研究方針はゾンビ企業の情報開示の状況について検証する。ゾンビ企業に融資を行う銀行は、この融資の損失を隠すことでベネフィットを得ようとする可能性がある(Hu and Varas, 2021)。そのため、ゾンビ企業は、銀行からの強い影響があっても、銀行の損失を隠すインセンティブに従うことから先行研究で議論されているような情報開示を充実させる影響力が見られないかもしれない。この損失を隠すインセンティブを検証するために、ゾンビ企業が利益調整を行うかどうかについて検証する。この検証結果は、ワーキングペーパにまとめられており、現在学術雑誌の査読を受けている最中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)