Project/Area Number |
22K20165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水田 誠一郎 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 特命助教 (10962962)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 費用関数 / 識別 / 操作変数 / 企業行動 / 検定 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、実証的産業組織論のテーマの一つである費用関数の推定と、それに基づく企業行 動の検定に関する理論的および実証的研究を行う。企業行動の検定のためには、ゲームの均衡条件から企業の限界費用が点識別されることが必要条件である。しかし均衡でカルテルが形成されている場合には、この点識別が難しい。このような状況で企業行動の検定ができるかを研究する。 より具体的には、企業のカルテル行動を描写するモデルとしてCorts (1999)の繰り返しゲームに基づくカルテルモデルに注目し、需要シフターなどの操作変数の利用可能性がカルテルの検定に利用できる状況(条件)を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は限界費用関数の推定および企業行動の検定を行う実証的産業組織論の分野に位置づけられる。その中でも、企業の共謀行動(カルテル、暗黙の協調)に関する分析を行う。この分野の研究では、データは特定の競争のモデルから実現していると想定し、そのデータが満たす条件から限界費用を点識別することで限界費用関数の推定を可能にしている。特にカルテルが疑われるデータに関しては独占均衡を想定することが一般的である。
繰り返しゲームの先行研究が明らかにするように、企業が長期的な関係のなかで協調行動を行うさいには、必ずしも独占均衡を達成できるわけでない。この事実は、企業行動を独占的企業としてモデルかした、共謀行動の検定や費用関数の推定の結果を信頼のおけないものにする可能性がある。一方でカルテルモデルは、企業の将来に対する期待や、企業の将来に対する評価(割引率)を含んでいるため、それをモデル化し、市場データから推定することは難しい。そこで本研究では、共謀行動が疑われる市場データに対して、限界費用をカルテルモデルから点識別することを諦め、独占と競争均衡の一階の条件から部分識別することを提案している。
Bontemp, Magnac, and Muarin (2012, Econometrica)の方法を利用して、部分識別された限界費用を用いた費用関数の推定を行うためのコンピュータ・プログラムを作成した。これを日本のセメント産業のデータに適用して結果を得ている。具体的には従来のカルテルを独占としてモデル化する枠組みの中では、セメント産業のデータは実際にはカルテルが行われているにもかかわらず、独占というよりむしろ競争的な均衡であると判断されるのに対し、本研究の方法では独占も競争均衡も排除されるという結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、分析自体は進展があるものの、結果を論文にするまでには至っていない。1年目時点での論文化を目標としていたためやや遅れていると判断した。一方で分析結果は、研究会等(Sapporo Workshop on Industrial Economics 2023)で報告を行っており、それらで得られたフィードバックをもとに論文化は順調に進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
論文化を進める。またAPIOC(Asia-Pacific Industrial Organisation Conference)等の国際学会で発表準備を進める。その後産業経済学分野の国際学術誌への投稿を目指す。
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