20世紀後半日本における学生運動の盛衰のメカニズム:大学立地施策と学生街の変容から
Project/Area Number |
22K20195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0108:Sociology and related fields
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小杉 亮子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (70785013)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 学生運動 / 学生街 / 社会運動の空間的要因 / 空間的変容 / 社会運動論 / 空間 / 大学立地施策 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、高等教育政策や都市計画、産業振興政策が複合的に重なった領域としての大学立地施策に着目し、1945年から1970年代までの日本における学生運動の盛衰のメカニズムを明らかにする。具体的には、1960年代後半における学生運動の中心地と言えた神田・御茶ノ水地区(東京)を取り上げ、文献調査・聞き取り調査・地理情報システムを用いた分析を組み合わせ、大学立地施策によって同地域に大学が集中し、学生街が形成され、学生街での生活をとおして学生たちが政治化していった過程、ならびに大学立地施策の変更によって大学の郊外移転等が進み、同地域の学生街が解体し、そこを拠点とする学生運動が衰退した過程を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1945年から60年代に東京都心部の大学キャンパスを拠点とする学生運動が隆盛し、1970年代中盤以降衰退したメカニズムを、大学立地施策に規定された学生街の変容に着目して明らかにすることにある。具体的には本研究では、学生運動が活発な大学群が立地していた神田・御茶ノ水地区を対象に選定し、これらの大学を拠点とする学生運動の盛衰メカニズムを、GISを用いた分析によって、大学立地施策に起因する学生街の形成と解体という空間的要因から説明する。 初年度にあたる2022年度は、第一に、大学立地施策が神田・御茶ノ水地区への大学立地と学生人口の集中を促すことによって、1960年代までに同地区で学生街を形成したこと、および1960年代以降は大学立地施策が同地区からの大学の撤退を促すすことによって、同地区の学生街が1970年代以降じょじょに解体したことを実証するため、高等教育政策や東京都の産業振興政策に関する文献を収集し、精読した。 第二に、1945年から60年代に神田・御茶ノ水地区の学生街での社会化を通じて学生たちが学生運動に参加していったプロセスを明らかにするため、当時同地区の大学群に通い、学生運動に参加していた元学生複数名に予備的聞き取り調査を行った。 第三に、本研究では、神田・御茶ノ水地区における学生たちの空間利用の実態、とりわけ学生運動と結びついたスポットに着目し、GISを用いてその通時的変化を明らかにするが、2022年度はGIS分析の手法について文献を精読し、学習を重ねた。 上記の作業をふまえ、一年を通じて、歴史的な観点から社会運動を論じるための方法論や理論的枠組みについて、研究者や学生運動関係者と議論しながら、考察を深めた。その成果の一部は、共編著『越境と連帯 社会運動史研究4』(2022年、新曜社)として上梓した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の柱は、1940年代後半から1960年代にかけて神田・御茶ノ水地区の大学群に通う学生たちが、学生街で、学生運動への参加を促されるような学生としてのライフスタイルを身につけ、それによって同地区で学生運動が隆盛したことを明らかにするために、当時同地区に所在した大学(法政大学、東京理科大学、明治大学、中央大学、専修大学、日本大学、東京大学、東京医科歯科大学など)に通い、学生運動に参加していた元学生たちに聞き取りを実施し、同地区での生活・消費・社交のありようと学生運動体験を尋ねることにある。2022年度は、このような元学生たちとのネットワークの構築を進め、予備的聞き取り調査を実施した。しかし、当初の目的であった7、8名への聞き取りを実施することは、時間的限界からかなわなかったため、現在までの進捗状況はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、1940年代後半から1960年代までの学生運動の隆盛と、神田・御茶ノ水地区での学生街の形成との関連を明らかにするため、当時同地区の大学群に通いながら学生運動に参加していた元学生たちへの聞き取り調査を、これまでよりペースを上げて実施する。第二に、聞き取り調査によって明らかになった学生の空間利用の実態、とりわけ学生運動と結びついたスポット(キャンパス、学生向け下宿、学生寮、喫茶店、居酒屋、書店、出版社など)をふまえ、それらの通時的変化から神田・御茶ノ水地区での学生街の形成と解体のプロセスを明らかにするため、ゼンリン住宅地図や電話帳から3年ごとのデータを収集し、GIS「MANDARA」を用いた分析を進める。第三に、大学立地施策(高等教育政策や東京都の産業振興計画、都市計画)が神田・御茶ノ水地区への大学の集中および撤退に与えた影響について最終的な結論を出すため、2022年度に収集した文献の精読をさらに進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)
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[Book] 越境と連帯2022
Author(s)
大野 光明、小杉 亮子、松井 隆志
Total Pages
200
Publisher
新曜社
ISBN
4788517779
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