戦後日本社会学における宗教理解と社会観に関する学説史的研究:親鸞解釈を軸に
Project/Area Number |
22K20209
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0108:Sociology and related fields
|
Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University (2023) Shinshu Otaniha, a religious corporation (The Center for Shin Buddhist Studies) (2022) |
Principal Investigator |
宮部 峻 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 助教 (90883893)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 親鸞 / ロバート・ベラー / 社会理論 / 戦後社会科学史 / 宗教社会学 / 浄土真宗 / 近代主義 / 大村英昭 / プロテスタント的想像力 / 真宗カトリシズム / 戦後日本社会学史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、社会学の理論が宗教をどのように捉えてきたのか、理想とする宗教と社会の関係はどのようなものとされてきたのかについて、戦後日本社会学における親鸞理解と日本社会との関係を中心に解明する。これまでの研究では見過ごされてきた親鸞思想の解釈の変遷を辿ることで、戦後日本の社会学が宗教を取り巻く状況にどのように対峙してきたのか、どのような社会を理想としたのかを学説史的に明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会学の理論が宗教をどのように捉えてきたのか、理想とする宗教と社会の関係はどのようなものとされてきたのかについて、戦後日本社会学における親鸞理解と日本社会との関係を中心に解明することを目的としている。これまでの研究では見過ごされてきた親鸞思想の解釈の変遷を辿ることで、戦後日本の社会学が宗教を取り巻く状況にどのように対峙してきたのか、どのような社会を理想としたのかを学説史的に明らかにする。 本研究は実存主義的神学・親鸞思想・社会学理論の3者の関係をそれぞれのテクストとコンテクストに照らし合わせながら、社会学理論と宗教・神学理解の解明、理想とされる宗教と社会の関係、社会観を示すことを長期的な目標としている。本年度は、宗教社会学者のロバート・ベラーの宗教論を重点的に検討するとともに、戦後社会学の親鸞論を整理する作業に注力した。まず、ベラーの宗教論については、1960年代後半から1970年代に提唱した「象徴的実在論(symbolic realism)」に注目した。象徴的実在論は、宗教や道徳といった社会の規範的次元を利害や権力によって説明する還元主義的な社会科学を批判する立場として提唱された。象徴的実在論は、タルコット・パーソンズ、アルフレッド・シュッツといった社会学者のみならず、神学者のパウル・ティリッヒの影響を受けて構想されていると示した。 次に、戦後社会学の親鸞論については、内藤莞爾やロバート・ベラー、森岡清美のテクストを中心に検討し、自律的主体のイメージ、家の宗教のイメージと重ね合わされる親鸞理解が社会学において広く影響を持ったことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ベラーや社会科学における親鸞論に関する資料収集に加え、ベラーの社会理論と宗教の関係について分析、親鸞論の整理を行うことができ、おおむね計画通り遂行することができた。また、本年度得られた研究成果については、学会発表・論文投稿を行なった。また、親鸞論を軸にしつつも、今後、社会科学と神学の関係に注目することで、社会科学が宗教の分析において抱える難題の在処を示すことができるという分析指針も得ることができた。 以上から、本年度は、おおむね期待通りの成果を得ることができたと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は宗教に関する社会学理論の難題について、社会学者が暗黙のうちに前提としている宗教・神学理解の解明を目指す。この作業は、社会学の理論的前提とも言える世俗化論を根底から見直すことにもつながっていく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)