英語の読み書きに困難を示す児童生徒の早期発見・早期支援プログラムの開発
Project/Area Number |
22K20222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
上岡 清乃 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70967801)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ディスレクシア / 読み書き障害 / スクリーニング検査 / 英語学習 / EFL Learner |
Outline of Research at the Start |
本研究は、英語の読みや書きに困難さを示す児童生徒をいち早く発見し、適切な指導へと繋げるための、評価と指導が一体化した早期発見・早期支援プログラムの開発を目的とするものである。プログラム開発にあたり、特別支援教育的視点から、以下の2点の研究課題の解決に取り組む。 〈研究1〉英語と日本語の言語記号体系の違いを考慮しつつ、英語の読み書きに困難さを示す児童生徒とその背景的認知特性を的確に発見するクリーニング検査を開発する。 〈研究2〉スクリーニング検査にて抽出された児童生徒に対して、個々の認知的長所・認知的短所に応じた英語の読み書き指導を行い、効果的かつ体系的な指導方略を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
英語の読みや書きに困難さを示す児童生徒を的確に発見するためのスクリーニング検査の作成にあたっては、日本人学習者が英語の読み書きに際して言語情報処理のどのようなプロセスを辿り、どこでつまずいているのかを明らかにする必要がある。本研究では、認知神経心理学的モデル(Kay, Lesser & Coltheart, 1996)に依拠し、読み書きに関する文字情報処理能力の評価に重点を置いた。 研究初年度は、作成した英語の読み書きスクリーニング検査の精度を検証し、適切なカットオフ値を設定することを目的として、学校教員への聞き取り調査の結果を分析した。調査では、スクリーニング検査を実施した児童生徒について、授業場面における英語学習の苦手さの有無を聴取した。聞き取り調査の対象データは、小学校5・6年生児童111名および中学校1~3年生生徒156名分であった。スクリーニング検査の作成に際して、カットオフ値候補としていくつかの標準偏差(-1SD、-1.5SD、-2SD)ならびにパーセンタイル値(15%tile、10%tile、7%tile、5%tile)を設定した。 学年間において得点の有意差が認められたため、カットオフ値候補は学年別に設けることとした。スクリーニング検査の結果を検定変数、教員への聞き取り調査の結果を状態変数として、受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic; ROC)分析を行ったところ、最も高いAUC値を示したのは-1.5SDを基準としたカットオフ値(AUC=0.865)であった。なお、感度は77%、特異度は99%、陽性的中率は95.9%であった。 スクリーニング検査の結果と教員への聞き取り調査の結果は概ね一致しており、本スクリーニング検査の活用によって、英語の読み書きに困難さを示す児童生徒を的確に発見し得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに高知県や岩手県で小学5年生~中学3年生までの児童生徒1,218名分のデータを収集している。学校教員への聞き取り調査ならびにその結果の分析は当初の予定通り進展し、分析結果より本スクリーニング検査のカットオフ値も算出された。また、研究協力者らとの協議も予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
読みや書きの能力に影響する障害には、様々な認知的要因が関与しており、その状態像は多様である。英語の読み書きに困難さを示す状態像とその正しい理解と指導には、日本語と英語の言語記号体系の違いを踏まえた上で、一人ひとりの認知的背景を適切に評価することの重要性が示唆される。 2023年度は、実際に英語の読みや書きに困難さを示している児童生徒の実態調査を行う。北海道札幌市の児童精神科に協力を依頼し、学習障害や発達性ディスレクシアの診断を受けた群を対象に本スクリーニング検査を行い、英語学習に困難を示す児童生徒を確実に見落としなく抽出できているか、本検査の有効性を検討する。さらに、個々の英語学習状況や学業成績、日本語の読み書き検査の結果、知能検査の結果などについても情報を収集し、それらの情報の統合によって英語学習における困難さの認知的背景を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)