Students' Emotional Changes and Their Impact on Learning in Learning History Controversial Issues
Project/Area Number |
22K20239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
星 瑞希 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (90966508)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 困難な歴史 / 歴史論争問題 / 感情 / 社会文化的アプローチ / 歴史教育 / 動機づけ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、歴史修正主義をはじめとする差別や抑圧に結びつくような物議を醸し出す歴史を生徒がいかに学ぶのかを明らかにする。こうした歴史の学習は生徒のアイデンティティや感情と不可分である。そこで、現代においても物議を醸し出す歴史を学習する際に、生徒の感情はどのように生起し、変化するのかを明らかにする。また、生徒の感情が歴史学習の動機づけや意味づけにいかに影響を与えるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はパイロット調査の分析、及び先行研究のレビューを中心に行った。 韓国併合の妥当性を評価する授業を対象としたパイロット調査において、生徒は韓国併合に関する詳細な歴史認識を有しておらず、日本は平和で友好的な国であるというナラティブ、日本は被害を受けてきた国であるというナラティブを有していることで、日本が過去に加害行為に加担していたこととのギャップから驚きを感じ、多くの生徒は被害を受けた人物や立場に感情移入(シンパシー)することで、ネガティブな感情を生起させていた。 生徒は、生起したネガティブな感情に対して、いくつかの方法で対処していた。1つは過去の加害行為を行った歴史的文脈を踏まえる(エンパシー)ことで、過去の行為の合理性を理解することである。2つ目は、過去の加害行為を反省すべき教訓とみなすことである。3つ目は、加害行為を相対化するナラティブを構築することである。今回対象とした生徒の中で生起したネガティブな感情が学習の動機づけに否定的な影響を与えることはなく、むしろ感情が生起することで、学習の意欲や知的好奇心が喚起されていた。 歴史論争問題における生徒の感情生起と学習の関係性に関する先行研究では、生徒の感情発生やトラウマを解消するプロセスに着目する精神分析理論に基づく「困難な知識(difficult knowledge」研究群と、歴史ナラティブや、生徒のアイデンティティが形成される社会文化的な文脈に着目し、生徒の感情生起との関係を探る「社会文化的アプローチ」研究群があることが明らかになった(Harris, Sheppard &, Levy2022)。 パイロット調査の結果を踏まえ、本研究では社会文化的アプローチに拠り、歴史論争問題に関する歴史ナラティブがいかに生徒のアイデンティティ形成、そして感情生起に影響を与えているのかに焦点化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に行ったパイロット調査の分析は終了し、10月には学会発表を行った(星瑞希「高校生は「困難な歴史」をいかに学ぶのか?ー生徒が授業中に感じたネガティブな感情に着目してー」全国社会科教育学会第71回全国研究大会)」。学会発表で頂戴したコメントをもとに、論文を修正し、現在国際誌への投稿を準備している。 先行研究のレビューについては、論文12本、書籍4冊を渉猟した。特に、Harris,Sheppard, & Levy(2022)Teaching Difficult Histories in Difficult Timesでは、研究群が整理されており、この領域の国際研究を整理する際の1つの指標を得ることができた。また、2月に米国で開催されたTeaching Difficult Histories in and out of High Schoolに参加し、当該領域の第一人者の一人である、Terrie Epstein氏とコンタクトを取り、情報提供して頂けたことで予定通り、概ね順調に研究計画を進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は。パイロット調査の結果を踏まえ、本調査を行う予定である。本調査は北海道の高校1校と、首都圏の高校3つで行う予定である。既に、調査協力校に協力依頼を行い、調査協力の許可を得ている。6月以降、これらの学校での参与観察と生徒のインタビューを通して、研究を遂行する予定である。本研究は社会文化的アプローチにたち、生徒が学校内外で対象となる歴史論争問題の歴史ナラティブをいかに獲得しており、いかにアイデンティティを形成しているのかに着目し、感情生起について分析を行う予定である。そこで、インタビューでは、対象となる歴史事象について、これまでどのようなイメージや認識を有していたのか、授業を通してそれらはいかに変容したのか、そのことが感情生起にいかなる影響を与えたのかを聞くことを中心とする。 首都圏の1校で行う調査は、国民の集合的記憶形成する最大のファクターの1つである教科書の歴史ナラティブとは異なるナラティブへの出会いがいかなる感情を生起させるのかを分析する。具体的には、Bermudez(2019)の枠組みを援用し、中学校の教科書に日本の暴力行為や加害行為がいかなる文脈で記載されているのかを分析し、それとは異なる歴史ナラティブによって授業を構成する。 上記の研究は、2024年度の国際学会での発表を経て、国際誌への投稿を予定している。 また、昨年度行ったレビューをまとめ、学会発表を行い、論文投稿を行う予定である
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)