子どもの人権を侵害してしまう保育者の潜在意識の可視化
Project/Area Number |
22K20260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
磯村 正樹 椙山女学園大学, 教育学部, 講師 (20965438)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 子どもの人権 / 保育者の人権意識 / ジェンダー / 子どもの意見表明権 / 保育 / 不適切な保育 / 不適切な関わり / マルトリートメント |
Outline of Research at the Start |
保育者が、子どもの人権を理解し、子どもの人権を尊重した保育を行うことは自明のこととして認識されてきた。しかし実際の保育場面では、子どもの人権について「誰ひとり取り残さない」「多様性を尊重」「ジェンダー平等」「子どもの意見表明権を大事に」など理念として理解していることでも、保育者が無意識的に子どもの人権を侵害している場面が見られる。保育者は子どもの人権について学び、理解をしているはずであるが、なぜ理解をしていても人権を侵害する言動をしてしまうのか。人権侵害をしてしまう潜在的な意識は何か。本研究は、子どもの人権を理解していても人権侵害をしてしまう、その潜在意識を可視化することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
質問紙調査の回答者を保育経験年数によって 「若手」「中堅」「熟練前期」「熟練後期」の4群に分け、2要因分散分析を行った。分析の結果、人権への意識は保育経験を積むことによって高まるとはいえないことが明らかとなった。 身体的暴力に関する項目はいずれの群においても強い違和感を覚え、有意な差は見られなかった。ジェンダーに関する項目では、若手保育者の方が有意に強い違和感を覚える項目があった。ジェンダーに関しては若い保育者の方が意識が高い傾向にあると考えられるが、ジェンダーに関するすべての項目に有意な差が見られたわけではなかった。有意な差が見られたのは「女の子なのにわんぱくね」「男の子なんだから泣かないの」といったジェンダーに関する否定的な言葉であり、若い保育者の方が否定的な言葉に対してより自覚的であるとも考えられた。子どもの意見表明権に関する項目では、熟練後期保育者が19項目のうち12項目で有意に強い違和感を覚えていた。保育経験を積むことによって子どもの意見表明権の意識が高くなった可能性もあるが,結果からは立場の違いによるものと解釈される。経験の少ない保育者はクラス集団をまとめることに意識が向きがちであるが,熟練後期保育者はより多面的な視点,組織への管理運営という視点からも保育と向き合おうとしている。何気なく使う言葉にも立ち止まって多面的に考えることにより,子どもの意見表明権への意識が強まると考えられた。一方で、中堅保育者が19項目中10項目において有意に違和感が弱く、クラスをまとめようとする意識,自分の思うような保育をしたいなどの意識から,反面で子どもの人権への意識が希薄になると考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)