Project/Area Number |
22K20276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹永 啓悟 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任助教 (30966213)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 学際教育 / 大学院教育 / 博士課程 / 文理融合教育 / 学位プログラム / 大学院教育プログラム / 文理融合型教育 / 人文・社会科学系 / 学際的学習成果 / 文理融合 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、大学院における学際的教育プログラムの人文・社会科学系学生にとっての教育的意義を明らかにすることである。異なる学問分野の学生や教員を含めた研究科が参画し、専門分野の枠を超えた学びが提供される学際的教育プログラムに関して、人文・社会科学分野の学生の観点からその内実と機能に迫る。とりわけ学際的教育プログラムで彼らが異分野との接触を通じてどのような成果を獲得できるのか、またその学習プロセスや学びの阻害要因、および制度的課題について質的調査を通じて明らかにする。その結果の分析を踏まえ、最終的には日本の大学院における学際的教育プログラムの質保証のための示唆を提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学院の学際教育プログラムの人文・社会科学系学生にとっての教育的意義を明らかにすることを目的とする。研究の手続きとして、文理融合型の日本国内の大学院の学際教育プログラムを対象とし、履修者が異分野との接触を通じて獲得可能な成果、及び学びの実態・プロセスや制度的課題を、質的研究を通じて明らかにし学際教育プログラムの質保証の基盤構築に資する基礎研究に取り組んだ。 研究成果として、研究課題A(教員への調査研究)については、学際教育プログラムの制度的課題について、学位プログラムの形態による違いに着目した論考を『STEM高等教育とグローバル・コンピテンス――人文・社会との比較も視野に入れた国際比較』(ISBN: 9784798917719)に所収・掲載した。また、学際教育・研究を推進する大学院大学の研究科長へのインタビュー調査を踏まえ、特徴的な教育制度の意義について「大学教育改革フォーラムin東海(東海フォーラム)2024」で口頭研究報告を行った。研究課題B(学生への調査研究)においては、任意の文理融合型の大学院のプログラムの履修者へのインタビュー調査および教育寮や公開型研究進捗発表会、異分野交流イベント等へのフィールド調査を行い、その結果の一部を「大学教育学会課題研究集会2023」にて研究報告した。その他、東海フォーラムの学際教育の分科会にて、大学教育院の学際教育プログラムの履修経験者(2022年度)や、学士課程の学際教育を担当する教員(2023年度)を招聘して公開型の意見交流会を企画・開催し、学際教育の現状と課題について知見を深めた。 今後については、理論研究を下敷きに研究課題A、Bの各対象と領域を拡大して調査を継続していくほか、学士課程段階の学際教育についても基礎研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
設定した研究課題は、次の2つであった。1つ目に、研究課題Aとして、大学教員の学際的教育に対する認識と、人文・社会科学系学生が学際教育で学ぶことの意義、成果の評価についての認識を明らかにすることである。本課題について、単一のプログラム担当の主要担当教員に対し、直接学際教育の意義についてパイロット調査を実施した。研究が進むにつれて当初の研究計画通りの複数プログラムではなく、事例を絞り深く掘り下げる必要性に鑑みシングルケースを対象とした。2つ目に、研究課題Bとして、学際的教育を通じて人文・社会科学系学生が獲得可能な学習成果、及び学びの促進や阻害要因を明らかにすることである。本課題については、単一の事例について、該当のプログラムの履修者複数名に対面またはオンラインによるインタビュー調査を実施し、その結果の分析を学会報告で成果として公表した。 今後は、研究課題A、Bそれぞれについて対象の拡大とインタビュー調査を継続して行い、その結果を学術誌へ論文として投稿予定である。 理論研究については、概ね先行研究の渉猟が進んでいる。今後、欧米を中心とする理論および実証研究の成果の整理を、学際教育の枠組みとして論文化し、学術誌への投稿を予定している。 また、学内外の高等教育に関心のある者が参加する「大学教育改革フォーラムin東海」にて、学際教育の分科会を2度開催した。学際教育の履修経験者や初年次教育担当教員に話題提供を依頼し、研究交流を行うことで学際教育の現状について示唆を得ることができた。本研究交流での知見を今後の調査研究に活かしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況もあり、とりわけ初年度は計画通りの研究の遂行が叶わなかった。この進度を踏まえ、本研究課題の理論枠組みに沿って対象を再検討し、プログラムの担当教員ないし履修学生と併せて着実にアプローチ可能であることを念頭に、少数のプログラムをより細かく総合的に分析できるような調整が必要である。研究課題の一つである教員へのインタビュー調査については、その調整をもとに学生へのインタビュー調査とセットで実施する予定である。 今後は現時点で収集したインタビューおよびフィールドワークのデータを再整理および再分析し、成果へつなげていく。そのため、年度内に主たる全国学会での発表報告および学会誌に投稿し査読を受けることで研究者からの幅広いフィードバックを活かして研究を継続することが求められる。 また、理論研究にかかる投稿予定の論考については、内容を学際教育について検討する某大学院の高等教育ゼミや研究代表者が所属する大学の同僚教員を通じて批判的検討を重ねて作成する予定である。とくに高等教育政策を対象とした未発表の研究については、教育系の政策研究を参考にデータの分析や先行研究の整理の部分に修正を施していく必要がある。
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