Project/Area Number |
22K20286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山田 寛之 立教大学, 立教サービスラーニングセンター, 教育研究コーディネーター (40963195)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | イギリス / こども学 / Campbell-Barr / 高等教育の質保証制度 / 分野別参照基準 / UCAS / 高等教育の質保証 / 「こども学」 / 新大学 / 旧ポリテクニク大学 / プログラム詳述書 / 高等教育質保証マニュアル / 高等教育 / B. Bernstein |
Outline of Research at the Start |
イギリスでは、高等教育の拡大に伴い、「市場原理」の下での高等教育の質保証が政策課題となってる。一方、McLean, Abbas and Ashwin (2018) は 、Quality in Undergraduate Educationという著書において、「大学の教育活動の詳細」に焦点を置き、多様な高等教育の保証を志向した、新しい高等教育の質保証の可能性を議論している。本研究では、McLeanらの議論を手がかりに、市場における高等教育の序列で下位に位置づく傾向のある「こども学」分野の学士課程教育を研究対象に、「保証すべき高等教育の質とは何か」という高等教育の質保証の基本的課題を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「専門分野における系統的な知識の獲得」を指標とする高等教育の質保証の可能性を明らかにするため、イギリスの学士課程教育における「こども学」を事例として、(1)知識に関する理論的分析、(2)高等教育の質保証制度の分析、(3)「こども学」の知識を事例とする実証的分析、という3つの視点から検討を進めている。①については、すでに『公共政策士林』において発表しており(山田, 2022)、その議論を踏まえて研究を進め、とくに、(2)(3)の成果を発表することが課題であった。 (2)に関しては、2023年10月発行の『法政大学大学院紀要』において、「イギリスにおける高等教育段階の職業教育の質保証制度: 新大学の『こども学』の学士課程教育の検討」を発表した。ここでは、UCAS(大学入学センター)の大学入学希望者向けの「こども学」関連の学士課程情報を抽出してその多様性を整理し、その上で、高等教育の質保証を推進するQAAが発行する「こども学」の分野別参照基準の推移、大学における質保証のマネジメントの事例を明らかにした。 (3)に関して、Bernsteinの理論をふまえ、「こども学」の知識の構造を明らかにしているプリムス大学のCambell-Barr教授に注目し、2023年6月17日の日本比較教育学会第59回大会において、「イギリス高等教育の新しい教育分野における知識の系統性:V.Campbell-Barrによる『こども学』の教育知識の検討」を発表した。 2023年度は、9月のBERA(イギリス教育学会)の研究大会に参加し、「(ポスト構造主義アプローチの)こども学」「若者(こども)」「高等教育」に関する最新の研究動向の調査を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象となっているイギリスの研究者との直接的な対話を重視したいと考えているが、検討すべき文献・論文の読解がやや遅れ、具体的な日程調整が上手くいかず、現地調査を思うように実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
イギリスの学士課程教育における「こども学」の特徴を、「こども学」担当の大学教員の議論の分析から明らかにする。具体的には、(1)Bermstenの知識論の議論(バース大学のAbbas教授、Hordern上級講師などの議論)を再検討し、「専門分野における知識のまとまり」としての「こども学」理解の方法を整理する。(2)Campbell-Barrの「こども学」の知識の構造の議論だけでなく、その議論における「ポスト構造主義的アプローチ」からの「こども」理解に関する議論を深めているミドルセックス大学のOsgood教授、バース大学のTaylar教授の論考(個別性、文脈性に注目するポスト・ヒューマニズム、フェミニスト・ニュー・マテリアリズム等)を整理し、Campbell-Barrの学士課程教育における「こども学」の知識の議論との関係を整理する。 イギリス現地訪問に関しては、バース大学教育学部の「アジア教育研究所」でアジアからの客員研究者の公募を行っているので、この制度への応募を通じて、上記のイギリス人研究者との接点を探る。 研究成果の発表に関しては、イギリスの学士課程教育における「こども学」の事例分析を通じて「知識論」「教育制度・マネジメント論」「こども学」を統合することが本研究の独自性ではあると考えてきたが、今後の論文作成・投稿の際には、それぞれの独自な議論を尊重し、安易に議論が混ざらないよう注意して行う。また、投稿先として「日本子ども学会」などの「こども学」の専門学会も視野に入れる。
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