保育・教職を志す女子大学生の初期キャリア形成:時間的展望に着目して
Project/Area Number |
22K20290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Okazaki Women's University |
Principal Investigator |
長谷 守紘 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 講師 (90962738)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | キャリア / 時間的展望 / 保育・教職 / 女子大学生 / 保育 / 教職 |
Outline of Research at the Start |
保育・教職を志す女子大学生たちが、持続可能で幸せな職業生活を送ることができるように願って本研究を構想した。 本研究の第一の目的は、キャリア意識と時間的展望の関連性を検討することである。ポジティブで現実的な未来展望や過去と現在、現在と未来の時間的なつながりをもつ学生は、リアリティショック、ライフイベント、職業選択の再設定等と折り合いをつけ、安定して職業生活を継続することができると予想している。第二の目的は、現在に偏りがちな時間的展望を過去と未来に広げ、自己の連続性を高めることでキャリア形成を促進する支援法を創出することである。ロールレタリングの技法を用いた介入を通して、その効果を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一の目的は、保育・教職を志す女子大学生のキャリア意識と時間的展望の関連性を検討することである。そこで、保育者・小学校教員を養成するA女子大学に通う4年生63名を対象に質問紙調査を行った。その結果、未来に対する肯定的な態度や現在と未来の連続性がキャリア成熟に影響を与えていることが明らかとなった。現在と未来の連続性をもっている学生は、理想の保育者・教育者になるために、関心・興味をもって、情報を集め、活動していると考えられた。また、未来に明るい希望を感じるからこそ、そこに至るまでの計画を具体的に思い浮かべることができるのだと考えられた。一方で、過去への態度がキャリア成熟に与える影響は一様ではなく、過去に対する受容度が関連していることが推察された。 本研究の第二の目的は、現在に偏りがちな時間的展望を未来に押し広げ、自己の連続性を高めることでキャリア形成を促進する支援法を創出することである。これまでキャリア教育や適応支援として実践された時間的展望を形成する手法を整理し、未来の自分に宛てた往信だけでなく、未来の自分から現在の自分への返信を含めたロールレタリングの技法を用いて、A女子大学4年生57人を対象にして、介入研究を実施した。効果検証の結果、卒業期で在学4年間を振り返ったり、就職先が決定したりとさまざまな要因がある中ではあるが、保育・教職の職業生活に対するポジティブな未来展望や未来と現在の時間的つながりが形成され、キャリアに対する自律性や計画性が促進された。一方で、現在の悩みが大きい場合、将来のキャリアを自律的に切り拓いていこうとする心構えが低下していた。現在の悩みの大きさは、未来に希望を見出すことを困難にしているがゆえであると考えられた。ロールレタリングが与える影響は個人によって異なることに留意しつつ、キャリア形成を促す手法として一定の効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、保育者・小学校教員養成校であるA女子大学4年生を対象として、質問紙調査及びアクションリサーチを実施した。それらの研究成果は、学会発表したり、論文としてまとめたりすることができた。しかし、まだ分析が未実施となっているデータがあったり、査読論文として発表できていなかったりする。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、大学を卒業して、保育・教育職に入職するという環境移行を通して、時間的展望やキャリア成熟がどのように変容するかについて短期縦断的に分析することである。その際、当事者の視点からの将来展望について個人の内的体験に基き、より詳細に検討するためにインタビュー調査も並行して実施する計画である。 第二に、キャリア成熟と時間的展望の関連性において、過去に対する評価をどのように受け止めているのかを測定し、それらがキャリア成熟にどのような影響を及ぼしていいるのかを明らかにすることである。 第三に、時間的展望を形成し、キャリア成熟を促すためのロールレタリングの手法について、さらなる検討を重ねることである。統制群との比較を通して、効果を正確に測定する必要がある。そのとき、何について書くことによってキャリア形成が促されるのか、効果はどれくらいの持続するのかといったリサーチクエスチョンに答えていく。また、手紙を受け取った効果があるのかについても、追跡して調査を行っていきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)