Project/Area Number |
22K20308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0110:Psychology and related fields
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小國 龍治 立命館大学, 総合心理学部, 助教 (70964609)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 乳児 / 幼児 / 発達 / 道徳性 / 向社会性 / 道徳 / 社会的認知 |
Outline of Research at the Start |
本研究では乳幼児期における道徳性の変容過程の解明を目指す。本研究によりヒトの乳幼児がより複雑で洗練された道徳性を備えていく発達過程を明らかにすることで,今なお多くの議論がある,乳幼児期における道徳性発達の全貌を解き明かすための示唆を提供する。そして,本研究が完成されれば,理論的な考察に留まっている,ヒトの道徳性が乳児期から幼児期にかけて博愛的なものから,戦略的かつ選択的なものに変容していく心的機序を明らかにするための実証的な証拠を投げかけることができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
道徳性の萌芽は乳幼児期という個体発生の初期から観察されるが,その性質は発達とともに変容していく。しかし,より複雑で洗練された道徳観がいつどのように備わっていくかは不明な点が多い。そこで,本研究では乳幼児期における道徳性の変容過程の解明を目指している。令和5年度はソーシャルマインドフルネスと呼ばれる他者に対する配慮行動に焦点を当てた。これまでの研究は困っている他者を助けたり,他者に資源を分け与えたりするなど,他者に直接的に利益を提供する向社会的行動を扱ってきた。加えて,近年は自己志向的行動の副産物として他者に間接的に利益を提供する向社会的行動(ソーシャルマインドフルネス)を扱った研究が増加している。しかし,ソーシャルマインドフルネスが発達段階のどの時期から観察され始めるかは不明なままである。そこで,令和5年度はソーシャルマインドフルネスが観察され始める時期を検討した。具体的には,5-6歳児に1つのユニークな資源と3つのユニークではない資源を呈示し,どの資源を選択するか,そしてその選択が後続者の有無によって異なるか検討した。5-6歳児がソーシャルマインドフルネスを示すのであれば,後続者が存在しない状況ではユニークな資源を選択する割合が高い一方で,後続者が存在する状況では後続者に選択肢を残すためにユニークではない資源を選択する割合が高いと予測した。しかし,5-6歳児が後続者に選択肢を残すためにユニークではない資源を選択するという証拠は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では乳幼児期における道徳性の変容過程の解明を目指している。令和5年度はソーシャルマインドフルネスと呼ばれる他者に対する配慮行動に焦点を当て,それが発達段階のどの時期から観察され始めるか検討した。具体的には,5-6歳児に1つのユニークな資源と3つのユニークではない資源を呈示し,どの資源を選択するか,そしてその選択が後続者の有無によって異なるか検討した。5-6歳児がソーシャルマインドフルネスを示すのであれば,後続者が存在しない状況ではユニークな資源を選択する割合が高い一方で,後続者が存在する状況では後続者に選択肢を残すためにユニークではない資源を選択する割合が高いと予測した。しかし,5-6歳児が後続者に選択肢を残すためにユニークではない資源を選択するという証拠は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,昨年度までに得られた知見に基づき,発達段階のどの時期からソーシャルマインドフルネスが観察され始めるか再検討する。単純に5-6歳時点ではソーシャルマインドフルネスが観察されないという可能性もあるが,それ以外に選択に伴う結果がうまく理解できていなかった可能性なども考えられる。そこで,5-6歳児にとって親しみやすく分かりやすい設定を用いたり,選択に伴う結果を明示的に説明したりして,発達段階のどの時期からソーシャルマインドフルネスが観察され始めるかを再検討する。また,得られた結果に応じて,対象とする年齢層を拡大し,年中児や小学生を対象とした研究も実施する。
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