Project/Area Number |
22K20339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0201:Algebra, geometry, analysis, applied mathematics,and related fields
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Research Institution | Nagasaki University (2023) Kyushu University (2022) |
Principal Investigator |
吉澤 研介 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80965286)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 曲げエネルギー / p-曲げエネルギー / 変分問題 / 安定性 / 境界値問題 / 障害物問題 / 勾配流 |
Outline of Research at the Start |
滑らかな平面曲線に対し、曲げエネルギーという量が曲率の二乗積分で定義される。曲げエネルギーの臨界点はピアノ線などの弾性体の形状を再現することが知られており、画像処理との関連も近年指摘されている。しかし、曲げエネルギーの臨界点の個数や、凸性・安定性といった定性的性質を調べることは汎函数の高階性等により一般に困難を伴う。本研究では、曲げエネルギーを一例とする高階幾何学的汎函数の変分問題の解の定性的性質を得ることを目的とする。さらに、得られた定性的性質を高階幾何学的汎函数の勾配流の時間大域挙動といった漸近解析へ応用する。
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Outline of Annual Research Achievements |
【1】三浦達哉氏(東京工業大学)との共同研究として、昨年度に引き続き p-elastica に対する研究を行った。ここで p-elastica とは、曲線長が固定された下での p-曲げエネルギーに対する臨界点のことをいう。昨年度の成果として、p が2以下の場合に両端点が固定された束縛条件の下で安定な p-elastica の一意性が得られていた。一方、p が2より大きい場合には、flat-core p-elastica と呼ばれる特殊な臨界点が存在するため、安定な臨界点の一意性は得られていなかった。本年度は主な成果として、エネルギー最小解ではないが安定な flat-core p-elastica が存在することを示した。特に、flat part と呼ばれる部分の位置関係により flat-core p-elastica の安定性が変わることが示された。これにより、安定な臨界点の一意性は p が2より大きいか小さいかで成立の可否が変わることを示し、この意味で非線形特有の現象を得ることに成功した。論文は現在査読中である。
【2】Marius Mueller 氏(Augsburg University)との共同研究として、平面曲線の枠組みにおける曲げエネルギーに対する障害物問題に取り組んだ。曲げエネルギーに対する障害物問題については、グラフ曲線の枠組みではエネルギー最小解の存在・非存在や凸性など様々な性質が得られていたが、平面曲線の枠組みにおいては「外的束縛をどのように取り込むか」という定式化の段階で困難点があった。本年度では、平面曲線に対する外的束縛の定式化を行うことに成功し、そこから正則性や障害物との一致集合に関する様々なエネルギー最小解の性質を得ることに成功した。論文は現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p-elastica については、安定性の構造が p と2の大小関係により変わるなど研究計画を超える成果を得た。一方、勾配流の問題に対する着手は遅れているが、本年度に得られた臨界点の安定性構造は勾配流の時間大域挙動の足掛かりに繋がることが期待できる。以上の観点からおおむね順調であると結論してよいものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を延長し、申請当初に着手予定であった勾配流に対する問題に加え、計画を超えて進展している p-elastica の安定性に対する研究にも取り組む。その一例として、境界条件が異なる場合での p-elastica の安定性について考察し、安定性に対する理解を深める研究を展開することを想定している。
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