中性子過剰領域における核分裂機構の解明およびrプロセス元素合成計算への応用
Project/Area Number |
22K20373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0203:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 翔也 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別研究員 (10963176)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 核分裂 / 動力学模型 / 統計模型 / rプロセス / 中性子過剰核 / ランジュバン方程式 / 原子核理論 / 核データ |
Outline of Research at the Start |
rプロセスは宇宙における元素合成過程の1つで、鉄より重い原子核を生成する主要な起源であるがその詳細は理解されていない。その中で核分裂は重要な役割を果たすが、元素合成経路に存在する中性子過剰核は実験的に到達できない領域であり、理論による評価に頼る他ない。申請者はこれまでに、動力学模型を用いて安定核付近の核分裂を調べており、実験データの存在する領域の核分裂現象を解明してきた。本研究では、動力学模型計算を用いて中性子過剰核の分裂メカニズムを調べるとともに、rプロセス計算に必要な新たな核分裂データベースの構築を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
rプロセスは宇宙における元素合成過程の1つで、鉄より重い原子核を生成する主要な起源 であるがその詳細は理解されていない。その中で核分裂はrプロセスの終端を決めるなど重要な役割を果たす。 本研究では新たに従来の現象論的模型を超えて、ランジュバン方程式を採用した散逸揺動定理に基づく動力学模型を用いて核分裂およびそれに伴う即発中性子放出の計算を行った。実験データの存在する核種(U-233,235,236,238, Pu-239)における中性子入射核分裂データにおいて特に重要である分裂片の質量数と運動エネルギーの評価を行った結果、実験データをよく再現する結果が得られた。モデル内のいくつかの物理パラメータを調整することで従来の理論計算に比べて実験再現性が大幅に改善されている。特に原子核の形状を決定する上で重要な要素であるネックパラメータを核種ごとに変更した。 またrプロセス計算への応用に向けて、新たに中性性過剰領域の核種における核分裂計算を行った。その結果、ウラン原子核について中性子過剰領域において質量非対称分裂から質量対称分裂へと変化する、急激な分裂モードの変化を確認した。この結果は、rプロセスに関連する分裂後の核分布(質量数100から150付近)に影響を与えるものである。 新たにランジュバン計算と統計模型を組み合わせることで新たに核分裂片から放出される即発中性子放出多重度の評価、および中性子過剰領域における核分裂片質量分布の変化を調べた。統計模型には汎用核データ計算コード(CCONE)を採用している。その結果即発中性子放出多重度の実験データを再現し、実験データのない中性子過剰核の理論予測を行うことが可能となった。この結果は今後の天体核物理の発展に資するものである。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)