分子輝線分布と主成分分析を活用した星・惑星系形成の最初期過程の解明
Project/Area Number |
22K20390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0204:Astronomy, earth and planetary science, and related fields
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大小田 結貴 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (20963094)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 電波天文学 / 低質量原始星 / 星間化学 / 原始星円盤 / 星・惑星系形成 / 原始星 |
Outline of Research at the Start |
アルマ望遠鏡で誕生して間もない星を観測し、星と惑星系がどのように成長していくのかを研究する。惑星のもとは、回転する円盤であると考えられており、誕生して間もない星の円盤構造や星の周りのガスの運動を調べることは惑星系形成の理解に役立つ。また、誕生直後の天体でできた物質が、どのようにして太陽系にもたらされたのかは興味が持たれる。星と惑星系の物理的な成長過程とともに、物質の化学過程についても調べている。
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Outline of Annual Research Achievements |
若い原始星と円盤構造の形成過程の徹底解明、初期円盤が原始星とともに進化する「共進化描像」の確立という2つのテーマを進めた。孤立した分子雲で形成されている若い低質量原始星B335をALMA望遠鏡で観測し、分子輝線分布の多様性を主成分分析を用いて系統的に分類し、それらの違いを用いて、円盤/エンベロープ構造での降着衝撃波を観測的に明らかにし、論文としてまとめた。また、高励起のCH3OHのスペクトル線をALMAの観測で検出し運動解析を進めた。数10auスケールでの運動状態や温度・密度状態を明らかにすることは「共進化描像」を探究する手がかりの一つにもなる。それと同時に、CH3OHの重水素化物の輝線を複数検出し、重水素濃縮度を調べた。これらの結果は、国内国際学会で発表した。おおかみ座の若い低質量原始星IRAS15398-3359において、高分解能観測のデータを活用し原始星近傍50 auスケールの化学組成を明らかにした。この天体は、不飽和な炭素鎖分子のみでHot coreは存在しないと考えられてきた天体である。しかし我々の観測データでHot coreの存在を示す結果が得られた。また、この天体は物理的にも興味深い天体である。以前、私は観測結果に基づき、原始星から噴き出すガス(アウトフロー)の方向変化を報告した。今年度、私はその激しい活動性を調べるために、ALMAに新たな観測提案をし、PIとして観測時間を確保することに成功した。この他にもJWSTチームや分光実験SUMIREとの共同研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、自身の研究テーマを大幅に進め、B335とIRAS 15398-3359に関する論文を1本ずつ投稿した。また、所属研究室のメンバーとの共同研究も進め、自身の幅も拡げることができた。まず一つ目は、メンバーが主体となって取得したJWSTによる赤外線観測との共同研究である。これは私がこれまで研究を進めてきた原始星IRAS15398-3359の観測データであるため、赤外線観測データと自身の取得したALMAの観測データを合わせ、アウトフローの内側とcavity wallの物理状態の理解を進めた。2つ目は、所属研究室で行っている分子分光測定実験との共同研究である。所属研究室では、CH3OH分子の重水素化合物のスペクトル線の周波数や強度の測定実験を行なっている。私は、原始星B335において同分子のスペクトル線を検出し、実験データで得たパラメーターを用いて原始星周りの重水素濃縮度を求めた。この結果については、国内外共に学会発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたテーマ1および2を軸に2023年度も引き続き研究を発展させる。高励起CH3OHスペクトル線の運動解析と重水素化物の解析について結果をまとめる。また、2022年に提案した原始星IRAS15398-3359に対するALMAの観測データが一部届いたため、解析に取り掛かり、原始星周りの大きなスケールでのガスの運動を調べる。この研究でテーマ1である原始星形成のヒントが得られる。 JWSTチームとの共同研究も引き続き行い、論文化に向けて進めていく。JWSTとALMA望遠鏡のデータを比較し、高温のガスでトレースされるアウトフロー(jet)と比較的低温のガスでトレースされる低速アウトフローの関係をまとめる。物理状態に加え、固相(氷)の化学組成と気相の化学組成の理解も深めたい。また、化学反応ネットワークの計算などのモデル計算のスキルを新たに身につけ、自身の幅を拡げたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)