Project/Area Number |
22K20569
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0601:Agricultural chemistry and related fields
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
今井 優 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (20964042)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 線虫共生微生物 / シグナル分子 / 放線菌 / 生理活性物質 |
Outline of Research at the Start |
微生物はそれらが生産するシグナル分子を介してコミュニケーションを取っている。環境中におけるシグナル分子の働きの全体像を明らかにするには, 微生物叢そのものを対象とする必要があるが, 本研究ではまず, 個と個の関係に落とし込んだ解析を行う。具体的には, 土壌中に遍在する動物である線虫に共生する微生物 (線虫共生微生物) と, 複雑な形態分化を示し, 多様な二次代謝産物を生産する土壌細菌である放線菌との関係に着目した研究を実施する。本研究では, 線虫共生微生物の培養物中から放線菌の表現型 (形態分化や二次代謝など) に影響を及ぼすシグナル分子を探索し, その作用機序の解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
微生物は環境中でシグナル分子を利用し, 相互作用している。これら微生物シグナル分子を有効利用できれば, 抗生物質などの有用二次代謝産物の生産性の向上や, 微生物の生育や分化の制御につなげることが期待できる。線虫は土壌中に遍在する動物であることから, 線虫に共生する微生物も土壌微生物叢において重要な役割を果たしていると考えられる。そこで本研究では, 線虫共生微生物と, 代表的な土壌細菌である放線菌との関係に着目し, 線虫共生微生物から放線菌の表現型 (二次代謝産物生産や形態分化など) に影響を及ぼすシグナル分子の発見を目指す。 本年度は, 土壌からの線虫の分離方法の確立と, 線虫共生微生物の単離を主として実施した。線虫の分離にはベルマントレイ法を利用した。現在までに信州大学内の土壌から取得した線虫から, Pseudomonas 属細菌や Paenibacillus 属細菌など, 40 種類以上の微生物を単離している。またこれらの中には , 線虫共生細菌として知られる Xenorhabdus 属も含まれていた。これまで Xenorhabdus 属細菌が土壌から直接分離された報告例がないことから, 本検討から得られた微生物が, 実際に線虫体内から分離されたことを示す指標となると考えている。また既知の細菌とは 16S rRNA 遺伝子の相同性が極めて低い細菌 (94% および 96%) の単離にも成功しており, ユニークな微生物ライブラリーを構築できている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように, 本年度は主に線虫共生微生物ライブラリーの構築に注力した。一方, 微生物シグナル分子のスクリーニングにおいては, 線虫共生微生物の液体培養物を利用する予定であったが, サンプルの調製が遅れている。また, 本研究では放線菌を検定菌とし, 線虫共生微生物の培養物中から放線菌の色素性抗生物質の生産性や形態分化へ影響を及ぼす化合物を見つけ出すことを目的としているが, 検定菌として利用予定であった放線菌 Streptomyces lividans の寒天培地における色素生抗生物質の生産性が安定せず, 先行研究時に得られたデータと再現性が取れない部分が出ている。これらについては, 今後の研究の推進方策に示す検討により解決を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
線虫共生微生物の液体培養物の調製に関しては, 新たに振盪培養機を設置することで解決可能であると考えている。既に複数台の振盪培養機を導入しており, 現在は 1 度に 200 サンプル程度の液体培養物を調製できる環境にある。そのため今後は滞りなくシグナル分子のスクリーニングに供試するサンプルを供給できると考えている。また今後の課題としては,“線虫共生微生物の培養物中にシグナル分子が存在するか否か?” を明らかにするための活性評価系を確立する必要がある。そのため, 今後は, ① 利用する放線菌の状態を検討する (-80度で保存した胞子を利用するのか, 寒天培地に接種したフレッシュな状態の胞子を利用するのか), ② 抗生物質生産性を評価する際に用いる培地を変更する, ③ 検定菌として近縁種である Streptomyces coelicolor A3(2) を加える, ④ 寒天培地から液体培養に変更する等の工夫をし, 再現性の高い結果が得られる評価系を再構築する。これらの課題を解決することで, 微生物シグナル分子を含む培養物を特定し, 活性物質の単離および構造決定, そして作用機序の解明につなげていく。
|