Project/Area Number |
22K20599
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0604:Agricultural economics and rural sociology, agricultural engineering, and related fields
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
後藤 夕輝 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (70963429)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 農業 / 高齢者 / 認知症 / 健康 |
Outline of Research at the Start |
我が国では高齢化と共に認知症高齢者が増加しており、2025年には約700万人(高齢者の約20%)が認知症を有すると推計されている。特に農村部では少子高齢化が顕著な上に都市部に比して認知症リスクが高いと報告されており喫緊の課題である。 農村部高齢者に親しみのある農作業は認知症の防御因子(運動・食事・知的活動など)との関連があり、健康の重要な社会的決定因子となると考える。現在、農福連携施策として高齢者へ就労・社会参加・生きがい・健康作りのために農業・農的活動の場を提供する試みがあるものの、農作業が精神的健康に及ぼす影響の科学的なエビデンスは乏しいため本研究でその検証を行いたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の問いは「農作業への関わりが精神的健康に及ぼす影響、認知症発症・進行予防につながるか」である。十日町市在住の65-84歳の非要介護高齢者を対象に、年齢・居住環境(市街地あるいは農村部)により層別ランダムサンプリングした前向きコホート研究であるNeuron to Environmental Impact across Generations Study(NEIGE研究)を基に行っており、これまで2017年にベースライン調査、2021-2022年に追跡調査を行った。 本研究の初年度(2022年度)には、ベースライン調査結果を用いて対象者を農作業従事群・非従事群に分け、両群の背景要因(年齢、性別、既往歴、教育歴、家族構成、経済状況、喫煙、飲酒、活動量など)を比較した。また、精神的機能(認知機能、うつ、不安、孤独感、主観的健康度)をアウトカムとして回帰分析を行い、一定時間以上の農作業従事群ではうつ傾向や認知機能低下、孤独感が低く、主観的健康度が高いことを確認した。 これらは農作業の従事時間や教育歴の影響を受ける可能性があり、2023年度には、ベースライン調査結果の農作業従事時間や教育歴に着目して再分析した。また追跡調査のデータ整理・分析を行い、ベースライン時と比較することで、同一個人の精神機能の変化を追跡した。認知機能に関しては、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で追跡調査時にはMini Mental State Examination日本語版(MMSE-J)検査を実施できず、評価法の検討中である。うつに関しては、農作業非従事群に比して農作業従事群では新規にうつ傾向となる率が低かった。さらに、十日町市に限らず他の地域での農業環境と高齢者の健康に関しても知見を得るために、日本農村医学会、日本老年医学会、公衆衛生学会等に参加したり、関係者と意見交換を行ったりした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、NEIGE研究では2017年から3年毎に追跡調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症予防対策により訪問調査の実施が困難となり、2020年に予定していた追跡調査が先送りとなった。そのためデータ収集・整理が予定より遅れ、現在縦断データの解析中である。また死亡や高齢化に伴い研究対象者数が減少しており、2024年の追跡調査に関しては実施方法を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ベースライン調査の結果を用いて農作業従事者・非従事者間で精神機能(認知機能やうつ傾向)に差がみられたことをまとめ、学会発表や論文化を進める。またMMSE-Jでの認知機能の追跡評価を実施する、あるいは脳MRIデータを含む代替案での精神機能の評価を試みる。そして調査・研究成果として蓄積するに留まらず、十日町市の今後の事業につなげていくことができるよう行政側とも意見交換を図りたい。
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