Project/Area Number |
22K20624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0701:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 昌平 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (10963259)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 細胞分裂 / 細胞膜 / 収縮環 / 流動性 / 細胞質分裂 / アクトミオシン |
Outline of Research at the Start |
細胞は、細胞分裂時に主にアクトミオシンからなる収縮環を形成し、細胞膜に係留されたアクトミオシンの収縮によって自身を二分する。細胞膜を構成する脂質二重層は本来高い流動性を持つにもかかわらず、どのように収縮環の構造的及び空間的な安定性が維持されているのかはわかっていない。本研究は、ヒト培養細胞と試験管内再構成系を用いて、細胞分裂時における細胞膜の流動性を定量的に解析し、その収縮環構造の維持機構を明らかにする。また試験管内再構成系を用いてその基本原理を探索する。さらに、膜流動性制御の収縮環の安定性への寄与および細胞分裂における意義を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞膜に係留された収縮環の構造的および空間的な安定性が維持されるメカニズムの解明を試みている。特に、ヒト培養細胞と試験管内再構成系を用いて、細胞分裂における細胞膜および収縮環の特性変化を解析し、その分子機構を明らかにすることを目指している。 昨年度までに、細胞膜に係留された微小顆粒の流動性解析法を開発し、細胞分裂期において、細胞膜に係留された構造体の流動性が顕著に制限されていることを明らかにした。そこで今年度は、細胞質分裂に働く収縮環の流動性に焦点を当てた。独自の細胞操作技術を用いて、細胞質分裂時の細胞形状に変化を与えると、収縮環はその構造を保ちながら細胞膜上で運動し、動的な位置の変化を起こすことがわかった。これらの結果は、細胞の形状が収縮環の流動に大きな影響を与えることを示唆した。さらに、細胞の形状操作によって収縮環が動的な位置の変化を起こす際に、収縮環のサイズが変動することを見出した。また、収縮環が流動に伴い不安定化し、最終的に崩壊する過程がとらえられた。これは、収縮環はアクトミオシンが連結した安定な構造であるものの、柔軟にその形状が変化し、細胞膜上の運動によって崩壊し得る構造体であることを示唆した。そこで今後は、細胞の形状と収縮環の流動性および安定性の関係を解析する。これらの解析により、正常な細胞分裂時に収縮環の位置が固定され、細胞の均等分裂を保証するメカニズムを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の流動性解析法と細胞形状操作技術を開発し、細胞の形状変化に応じて、収縮環の流動性が変化し得ることを見出すことができた。また、収縮環が細胞膜上の流動に伴い、崩壊する過程をとらえることができた。これらは当初予想していなかった観察結果であり、細胞膜および収縮環の特性に関して、新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から、細胞の形状が収縮環の流動に影響を与えること、また細胞膜上の流動は収縮環の構造的な安定性に影響を与えることがわかった。そこで、収縮環の空間的および構造的な安定性に寄与する因子をさらに探索する。これまでに、アクチン繊維、セプチンや中間径フィラメントといった細胞骨格が細胞膜直下に裏打ち構造を形成し、細胞の形態変化に寄与することが知られている。そこで、これらの因子の阻害実験により、収縮環の細胞膜上での安定性に寄与する因子を探索する。また、細胞骨格だけでなく、脂質成分や細胞膜タンパク質の組成変化を誘導することで、それらの寄与も調べる。これらの解析により、収縮環の位置と安定性を保証する分子基盤を明らかにする。
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