1細胞における自律的な温度制御が駆動する細胞現象の探索
Project/Area Number |
22K20636
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0701:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
村上 光 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50963518)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 細胞内温度 / 筋細胞 / ミトコンドリア |
Outline of Research at the Start |
近年、生命活動を司る物理量である温度が、1細胞、さらには細胞内小器官の階層で変動することが国内外より数多く報告されてきた。さらに、本申請者のこれまでの研究から、個々の細胞が自らの温度を能動的に制御している可能性も明らかになっている。一方で、これらの現象の生理的意義は依然として殆ど不明である。 そこで、本研究では「細胞内の温度変動は細胞現象を誘導するシグナル(トリガー)となる」との仮説を立て、細胞自律的な温度変動により局在や存在状態が変化する分子を探索する。また、同定した分子が有する温度依存的な機能を解析することにより、細胞機能における細胞内温度の作用点を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
温度は生命活動を司る物理量の一つである.これまでに,生命の最小単位である細胞において温度が能動的かつ自律的に制御されることを強く示唆する現象を見出した.一方で,その現象の明確な生理的意義は依存として不明である.本研究では,細胞内局所の温度により機能が制御される分子群の同定を通して「細胞内温度変動は細胞現象を誘導するシグナル(トリガー)となる」との仮説の実証を目指している. 当該年の研究では,生体内にて盛んに温度変動が生じる器官である骨格筋に着目し,筋細胞をモデルとした仮説検証を行うための実験系を構築した.まず,マウス筋芽細胞株C2C12細胞,並びにマウス骨格筋から単離した筋芽細胞に対して,温度変化依存的な蛍光強度レシオ変化を示す蛍光性ポリマー温度センサー(FPT)(Sci. Rep. 2017)の導入条件を検討し,走査型レーザー共焦点顕微鏡を用いたイメージング技術に基づく細胞内温度計測法を確立した.続いて,熱発生に起因する温度変動が報告されている小胞体,及びミトコンドリアの膜上に近接依存性ラベル化分子であるAPEX2(Nat. Protoc. 2016)を導入するために,C2C12細胞に適用可能な遺伝子発現系を検討した.その結果,レトロウイルスベクターを用いた手法により良好な導入効率が得られることを見出した. 以上,in vitroのみならずex vivoの筋細胞モデルについて,細胞内における温度変動の計測法を確立した.さらに,生細胞内ラベル化技術を用いることにより温度変動に関与する細胞小器官,並びにその周辺に存在するタンパク質群のプロファイルを解析する手法の導入にも成功しつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,筋細胞のモデル系における細胞内温度計測技術の確立を完了した.また,筋芽細胞株に対する遺伝子発現系の検討過程では,当初予定していた系の導入効率が想定よりも著しく低く,新たに複数の系を試行する必要があったものの,結果として低細胞毒性かつ効率の良い遺伝子発現系に辿り着くことができた.これらの実験技術は本研究計画全体を通して軸となるものであり,次年度以降に予定している計画も速やかに進行することが期待できる. 以上の進捗状況から,当初の計画を基に研究が概ね順調に進展したと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
・細胞小器官の内在的な発熱機構に対する摂動(活性化もしくは抑制)を介して細胞内(局所)の温度を操作するために,呼吸鎖複合体阻害剤や脱共役剤(ミトコンドリア機能を対象),さらに小胞体Ca2+ストア関連分子群の阻害剤(小胞体機能を対象)が筋細胞の細胞内温度に与える影響を定量的に解析する. ・細胞自律的な温度変動をモデルとした研究に展開するために,筋細胞固有の形態変化過程にて細胞内温度を経時的に観察し,同過程に特徴的な細胞内温度変動を明らかにする. ・細胞小器官に局在化させたAPEX2による近接タンパク質のラベル化について,C2C12細胞における最適な反応条件を決定する.さらに,細胞内温度操作の有無によりラベル化度が変動するタンパク質群を質量分析により同定する.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)