Project/Area Number |
22K20694
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0704:Neuroscience, brain sciences, and related fields
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡本 慎一郎 順天堂大学, 健康総合科学先端研究機構, 特任助教 (70746940)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 神経形態学 / 組織学 / 固定法 / 標識法 / AAV / 大脳皮質 / 錐体細胞 / シナプス入力 |
Outline of Research at the Start |
大脳皮質と視床間のループ回路は、覚醒状態と関わるなど重要な機能を持っており、この回路構造を解き明かすことは脳の高次機能を理解するために必要不可欠である。しかし、大脳皮質から視床へと情報を送っている「皮質-視床投射(CT)ニューロン」へのシナプス入力様式は未だ解明されていない。 本研究課題では、ニューロンを効率的に可視化する新規AAVベクターの開発と、細胞膜上の蛋白の検出に優れたGlyoxal固定法とを用いて、単一のCTニューロンが受ける全シナプス入力の解析を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、Glyoxal固定の条件検討及び、皮質6層錐体細胞に感染しやすいAAVベクターのセロタイプについて検討を行なった。 【Glyoxal固定の条件検討】Glyoxal溶液を用いて固定した脳サンプルに対して免疫染色をおこない、将来の解析で使用する可能性のある各種抗体について、染色性を評価した。その結果、Glyoxal固定サンプルでは、細胞膜上に局在する分子の染色性が大きく向上することを見出した。一方、細胞質に存在するタンパクの検出能は、一般的なPFA固定よりも劣っていることも明らかとなった。染色する標的にあわせて両固定法を使い分けることにより、従来よりも効率的に標的分子を標識することが可能となった。 【AAVベクターのセロタイプ検討】レポーター蛋白を標的細胞に導入する手段として使われるAAVベクターだが、セロタイプによって感染する細胞に偏りが生じることが知られている。そこで、AAV2/1, 2, 5, 6, 8, 9, retroの各種ベクターを皮質に注入し、感染性について評価したところ、全てのセロタイプで感染に層特異性が認められた。 【ルシファーイエロー注入による標識法の開発】本研究の目的は皮質6層の錐体細胞の解析であるが、さらにその先の研究では全層の錐体細胞や各種抑制性細胞なども対象とした解析を目指しており、その為には全ての細胞種に対して使用可能な普遍的標識法の確立が必要となる。しかしながら、ウイルスベクターを用いた標識法では、感染特異性という壁を突破することが難しいことが判明した。そこで、細胞種非特異的な標識法として、固定脳の神経細胞へルシファーイエローを電気注入する手法に着目し、同標識法の確立を目指すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初使用する予定だったAAVウイルスベクターに問題があることが判明し、新たな標識法の確立が必要となったため、実験の進捗は「やや遅れている」と判断した。 AAVベクターによる標識法の代替として採用したルシファーイエローの電気注入法は、80年代に開発された手法であり、詳細なプロトコルも公開されている。既に実験環境は整いつつあり、細胞への色素注入にも成功している。この手法が確立されれば、ウイルスベクターを用いた標識法よりも遥かに高効率で標的とした神経細胞の標識が可能となる。したがって、最終的な研究の進捗にはさほど影響しないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
色素注入を行うための実験環境の構築はほぼ完成しており、既に色素注入にも成功している。2023年度の前半は、環境の微調整をおこない、注入の成功率向上に努めつつ、解析に使えるサンプルの取得を進める予定である。 2023年度の後半は、取得したサンプルのデータ解析をおこない、論文の執筆に着手することを目指す。
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