Project/Area Number |
22K20846
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
井出 真太郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10963069)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ポドサイト / フェロトーシス / 糸球体障害 / 慢性腎臓病 / 糖尿病性腎症 / 尿蛋白 |
Outline of Research at the Start |
近年、新規細胞死の一つであるフェロトーシスは、尿細管傷害の組織修復不全を促進することから、慢性腎臓病の新規治療標的になる可能性が示唆されている。しかしながら、尿細管以外の腎臓構成細胞におけるフェロトーシスの役割は明らかでない。そこで本研究では、糸球体構成細胞の一つであるポドサイトでのフェロトーシスの役割を明らかにし、フェロトーシスを治療標的とした慢性腎臓病の新規治療戦略の基盤を確立する。この目的のため、遺伝子改変マウスや糸球体傷害モデルマウスを作成し、ポドサイトにおけるフェロトーシスの役割について検討を行う。更にヒトの検体を用い解析を行うことで得られた知見の臨床医学への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、全身でフェロトーシスを誘導されるマウスが著明な尿蛋白を呈することに着目し、糸球体、特に尿中への蛋白漏出を防ぐ役割を有するポドサイトの障害にフェロトーシスが関与している可能性を考えた。本申請研究は、正常及び障害ポドサイトにおけるフェロトーシスストレスの役割、その機能を解析し、糸球体障害においてフェロトーシスが新規治療標的になりうるかを明らかにすることが目的である。令和5年度ではそれぞれの研究計画について下記のような結果が得られた。 研究計画1 定常状態のポドサイトにおけるフェロトーシスの機能解析 ポドサイトにフェロトーシスストレスを誘導させることを目的に、フェロトーシスを抑制する主要因子であるGpx4遺伝子をドキシサイクリン誘導性かつポドサイト特異的に欠損するマウスを作成した。そのマウスにGpx4欠失を誘導し、誘導後4週、8週で解析を行った。誘導後4週の時点で糸球体、ポドサイトにおけるGPX4蛋白の欠失を認めGpx4 deletionが十分に誘導されていることを確認した。一方で、いずれのタイムポイントにおいても尿蛋白は軽度上昇傾向であるものの有意差は認めなかった。加えて、組織学的所見においてもポドサイトや糸球体障害を示唆する所見は確認できなかった。 研究計画2 糸球体傷害におけるポドサイトのフェロトーシスの機能解析 糸球体障害におけるフェロトーシスの機能解析のため、高血糖、高血糖+高脂質食モデルマウスにおける糸球体障害モデルを作成し、フェロトーシスについて検討を行った。その結果、過酸化脂質の蓄積や少量ながらTUNEL陽性細胞の出現を認めた。現在、研究計画1で作成したPodocin-rtTA: tetO-Cre; Gpx4flox/floxマウスに上記の糸球体障害を誘導することで、より表現形が増幅されるかを解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度では、主にポドサイト特異的にフェロトーシスを誘導するマウスであるPodocin-rtTA: tetO-Cre; Gpx4flox/flox及びPodocin-rtTA: tetO-Cre; Gpx4flox/flox;tdTomatoを作成を完了する予定であったが、マウス輸送の事故に伴い、目的のマウスの交配が遅れ、2年目の研究計画にも影響した。加えて、当初予想していたよりもPodocin-rtTA: tetO-Cre; Gpx4flox/floxの表現形が軽度であったことから、当初よりも多い複数のタイムラインや糸球体障害モデルを加えて実験を行っている。ポドサイトでの表現形が軽度であったことは、フェロトーシスに脆弱な尿細管細胞とは対照的であり、この2つの細胞種を比較することで新たなフェロトーシスに対する抵抗因子の発見につながる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初本申請研究は2年での予定であったが、上記のような問題による進捗の遅れもあるため、もう一年期間を延長する予定とした。これにより、当初の研究計画、ポドサイトにおけるフェロトーシスの機能だけでなく、なぜポドサイトが尿細管細胞に比較してフェロトーシスに耐性を有しているかについて明らかにする。このことは、フェロトーシスに感受性を有する尿細管に対する新たな治療標的の創出にも繋がる。今後の研究の推進方策は以下の通りである。 研究計画 1: 定常状態のポドサイトにおけるフェロトーシスの機能解析 作成したPodocin-rtTA: tetO-Cre; Gpx4flox/floxマウスを用いて、糸球体障害時の表現形の表現形について解析を行う。表現形に差が出るタイムコースや糸球体障害モデルを用いて、糸球体を中心とした単一細胞シークエンスを行いフェロトーシスによる糸球体各種細胞への影響を評価、解析する。 更に培養細胞、特にヒトポドサイト細胞、ヒト尿細管細胞を用いることでフェロトーシスの感受性を評価し、どのような因子がフェロトーシス感受性の違いをもたらしているかについて検討する。 研究計画 2: 糸球体傷害におけるポドサイトでのフェロトーシスの機能解析 種々の糸球体障害モデルにおいて、ポドサイトにフェロトーシスが誘導されていることが示された。今後は既存の薬剤を用いることでこのフェロトーシスが抑制できるかどうか確認を行う。
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