Project/Area Number |
22K20862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐々木 槙子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00961541)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 光線力学診断 / 5-ALA / 光感受性物質 / 悪性腫瘍 / 抗体薬物複合体 / HER2 |
Outline of Research at the Start |
光線力学的診断(PDD)は,腫瘍に取り込まれた光感受性物質を利用した低侵襲な画像診断法である.申請者は5-ALAによる粘膜下腫瘍のPDDにつき報告したが,5-ALAの腫瘍選択性の低さが問題であった.以前当教室にて開発した光感受性物質オリゴ糖連結クロリン(O-クロリン)は優れた蛍光性を持つ反面,代謝性の低さから生体での診断が困難であった.本研究では,O-クロリンの蓄積性による問題を低減させるべく,腫瘍細胞に発現するHER2を標的とした抗体薬物複合体を合成し,超選択的に腫瘍細胞へ薬剤を集積させることで,低用量でのPDDを可能としO-クロリンの蓄積性の問題を解決する.
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Outline of Annual Research Achievements |
光線力学的診断(Photodynamic Diagnosis, PDD)は,腫瘍に取り込まれた光感受性物質を利用し,肉眼的には認識困難な腫瘍を診断する画期的な画像診断法である.本邦では 5-アミノレブリン酸(5-Aminolevulinic acid: 5-ALA)を用いたPDDが,保険収載され臨床使用されている.PDDは光感受性物質を投与後,腫瘍に特異的に取り込まれた同物質に対して固有の励起光を照射して発生する蛍光波長を検知することで,肉眼的には認識困難な腫瘍を診断する.一般的な画像診断のCT検査と比較し,放射線被ばくなどの侵襲も少ない.申請者は,5-ALAを用いた粘膜下腫瘍のPDDにつき報告したが(Sasaki et al PLoS One 2021),5-ALAの腫瘍選択性の低さが問題であった. また,以前当教室にて新規開発した光感受性物質のオリゴ糖共役クロリン(O-クロリン)は優れた蛍光性を持ちながら,蓄積性の高さから生体内での画像診断への応用が困難であった. 本研究では,O-クロリンの蓄積性による問題を低減させるべく,腫瘍細胞に発現するHER2 を標的とした抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate: ADC)の合成と検討を目的する.ADCの開発は癌治療研究においても重要な役割を担っているが,光感受性物質に抗体を組み合わせたADCの報告は世界でも少ない.我々の独自開発した優れた光感受性物質O-クロリンに広く臨床使用されている抗HER2抗体を組み合わせた世界唯一のADCにて,超選択的に腫瘍細胞へ薬剤を集積させることで,低用量でのPDDを可能としO-クロリンの蓄積性の問題を解決する.最終的には臨床応用を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終的にはO-クロリンにHER2抗体を結合させることを目的とするが,まずは抗体結合が上手くいくかを予備実験中である.現在,O-クロリンより増感効率の高いポルフィリンに対して,HER2抗体より安価なアルブミンを結合させることまでは成功している.今後、ポルフィリンにHER2抗体を結合できるか予備実験を行った上で,O-クロリンにHER2抗体trastuzumabを結合予定である.上記の操作に時間がかかり,現在HER2抗体結合O-クロリンでの検討はすすめられていないが,すでに開発ずみのHER2抗体結合Gクロリンe6にて予備実験(フローサイトメーターを用いた薬剤取り込みの評価など)をすすめている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,HER2抗体trastuzumab結合O-クロリンの作成が完了次第、以下にて研究推進予定である. 1)抗HER2抗体結合O-クロリンの物性評価;抗HER2抗体結合O-クロリンのキャラクタリゼーションを行い,物理的・化学的性質を明らかにし,in vitro・in vivo試験に必要な感光医薬の励起波長の決定・溶解度などを算出する. 2)抗HER2抗体結合O-クロリンの腫瘍細胞への取り込みの検討;FACSCant II (BD社)を用いてHER2強発現胃癌細胞株NCI-N87とHER2弱発現胃癌細胞株MKN45での薬剤(抗HER2抗体結合O-クロリン・O-クロリン・5-ALA)の取り込みを経時的に測定し,がん細胞選択性を解析する. 3)抗HER2抗体結合O-クロリンの細胞内局在の検討;細胞内小器官への蓄積の局在を検討する.細胞内小器官は,各々lyso Tracker Green,Mito Tracker Green, ER-Tracker Green (Invitrogen社)で,Golgi bodyはNBD C8-ceramide (Invitrogen社)でラベルし,共焦点レーザー顕微鏡FV3000(Olympus社) を用いて薬剤の細胞内局在を検討する. 4)抗HER2抗体結合O-クロリンの腫瘍集積性の検討;マウス背部皮下に腫瘍(NCI-N87およびMKN45)を移植し,抗HER2抗体結合O-クロリンと比較対象のO-クロリンおよび5-ALAをそれぞれ静脈内または腹腔内に投与後、腫瘍への光感受性物質の集積性をVLD-M1スペクトロメーター(M&M社)とその解析ソフトウエアBW-Spec V3.24(B&W TEK社)を用い経時的に解析する.
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