Project/Area Number |
22K20884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
木村 岳史 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (80926113)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | トロンボスポンジン2 / TSP2 / C型肝炎 / NAFLD / NASH / 肝線維化 / 線維化 / 肝臓 / HCV / トロンボスポンジン2 / 肝疾患 |
Outline of Research at the Start |
世界中で患者数が急増する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態解析とそれに基づく治療法の開発は喫緊の課題である。申請者は最近、血清トロンボスポンジン2(TSP2)値が NAFLD の肝線維化と高い相関関係にあることを報告した。本研究では、独自に開発する新規実験モデルを用いて「TSP2発現による肝線維化の増悪」仮説を検証する。さらに網羅的解析にて細胞内シグナル伝達機構を解析することで、TSP2の肝線維化増悪メカニズムを明らかにする。本研究結果はNAFLDの最大の予後規定因子である肝線維化の機序を解明し、治療薬への臨床応用に展開することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
トロンボスポンジン2(TSP2)は、細胞増殖や接着など多様な細胞機能に関与している。最近、我々は血清TSP2発現値が、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の肝線維化ステージや疾患活動性と相関があることを報告した(Kimura, Liver int, 2021)。本事業では、まずC型肝炎ウイルス(HCV)感染者においても、血清TSP2が臨床病理学的特徴と関連しているかどうかを検討した。その結果、血清TSP2値は肝線維化stage(r = 0.426、P < 0.0001)およびActivity grade(r = 0.435、P < 0.0001)の両方と中程度の相関を認めた(Iwadare, Kimura, Scientific Reports, 2022)。 さらに、肝臓におけるTSP2の発現メカニズムの解明を目指し、NAFLD包括的遺伝子データセット、シングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)データセット、NAFLD肝組織、ヒト肝星細胞(HSC)由来のLX-2細胞を使用して追加検討を行った。高度肝線維化NAFLD患者には1433個の変動遺伝子を認め、TSP2をコードする遺伝子THBS2は上位2遺伝子にランクされた。NAFLD肝臓のqPCR検査では、THBS2の発現と線維化ステージとの間に有意な相関が示された(r = 0.349、p < 0.001)。また、scRNA-seq解析とin situ hybridizationにより、THBS2遺伝子は線維化が進行したNAFLD患者のHSCで高発現していることが明確に示された。遺伝子データセットのパスウェイ解析では、THBS2の発現はトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)経路およびコラーゲン遺伝子の活性化と強く関連していることが明らかになった。このように、THBS2/TSP2はHSCで高発現しており、NAFLD患者の肝線維形成を制御する役割を担っている可能性が高く、肝抗線維化療法の潜在的な標的であることが判明した(Kimura, Liver int, 2024)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NAFLDにおいてTSP2は肝星細胞に高発現し、肝線維形成を制御する役割を担っている可能性が高いことを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓におけるTSP2の分子生物学的な役割、肝線維化の制御システムの詳細を明らかにしていく。
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