血栓性微小血管症の病因診断の試みー腎生検組織の空間的トランスクリプトーム解析ー
Project/Area Number |
22K20908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0903:Organ-based internal medicine and related fields
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 沙理 北海道大学, 医学研究院, 助教 (60455631)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 空間的トランスクリプトーム / 血管内皮 / 血栓性微小血管症 / 腎病理 |
Outline of Research at the Start |
血栓性微小血管症(TMA)は、細血管障害性溶血性貧血、消費性血小板減少、細血管内血小板血栓を3主徴とする症候群の総称である。近年、高齢化や悪性腫瘍患者の増加に伴い、薬剤関連等の二次性TMAの頻度が増加している。病理組織像から病因の鑑別は困難であり、現在治療は対症療法が主体である。近年注目されている空間的transcriptome解析では、組織局所におけて位置情報を持った遺伝子発現パターンを網羅的に解析できる。この手法を用いて病理学的TMA症例の内皮細胞を取り巻く微小環境における網羅的遺伝子発現解析を行い、病因ごとの遺伝子発現パターンを明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、様々な病因で発症する血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy: TMA)の症例について、腎生検組織を用いて、空間的transcriptome解析を行い、病因により差異が見いだされるかを検討する。GeoMX(NanoString社)のプラットフォームを用いて、腎生検組織上の内皮細胞のみからmRNAを抽出し、網羅的な whole transcriptome解析、および網羅的な蛋白解析(nCounter)を行う予定である。 1. 病理学的TMAのうち比較的急性期の内皮細胞傷害像を示す、①TAFRO症候群(血小板減少、全身性浮腫、発熱、骨髄線維化や腎機能障害、臓器腫大を示す全身性炎症性疾患) に伴うTMA、②造血幹細胞移植後TMA、③薬剤性TMA(抗VEGF阻害剤)、④膠原病関連TMA(抗リン脂質抗体症候群等)を2-3例ずつ抽出した。病理組織学的因子、血液検査所見、尿所見、臨床経過や治療反応性について解析し、典型例を確認した。 2. ヒト腎生検組織ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて、 GeoMX(NanoString 社)をプラットフォームとする 空間的 transcriptome 解析、およびnCounterを用いた網羅的な蛋白解析を行うための予備実験を開始した。まず、パラフィンブロック品質を確認した。特殊スライドガラスを入手した。予備実験用に、固定条件等の異なる腎生検症例(IgA腎症等)を10例ほど抽出の上、パラフィン切片を接着させ、外注先に提出した。NanoString社の技術者とミーティングの上、遺伝子抽出や蛋白解析を行う関心領域を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラフィン切片を用いた網羅解析は、外注先であるNanoString社と連絡をとりながら進めている。現段階で、4種類の抗体(CD31, LCA, panCK, 核染)で蛍光染色し、目標となる内皮細胞が同定可能であることを確認し、同スライド上で、網羅解析を行う関心領域を決定できた。現在、関心領域からの遺伝子抽出や解析が行われている。しかしながら、NanoString社において、技術者の退職・途中交代があり、予備実験を開始してから、4ヶ月が経過してしまっており、当初の予定よりも進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、空間的トランスクリプトーム解析および蛋白解析(nCounter)の予備実験まで順調に進行している。今後、予備実験で一定の結果が得られれば、本番用の検体に求められる様々な条件がクリアになる。予備実験の結果を踏まえて、最終的に検討する検体を選定し、貴重なTMA検体を本番用のスライド硝子に貼付し、本番の検討に移行していきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)