Project/Area Number |
22K20933
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0905:Surgery of the organs maintaining homeostasis and related fields
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柴田 賢吾 北海道大学, 大学病院, 医員 (90962853)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 虚血再灌流傷害 / 脂肪肝 / 機械灌流 / 水素ガス / 虚血再灌流障害 |
Outline of Research at the Start |
新液による冷保存、体外灌流、独自に見出したconditioning法 (14-3-3賦活、Nrf2活性化) を組合わせて、新規臓器修復のprotocolを確立する。得られた組織を、細胞画分のLipidomics, IMS 解析により絞り込み、小胞体―ミトコンドリア相互作用を免疫染色(共焦点顕微鏡)、免疫電顕等で解析すしストレス応答、新規臓器修復法の作用点の全容が解明する。また、試料分析による方法ではm/zが得られても光学異性体を識別できないので、興味物質が絞り込まれたらラマン顕微分光分析により、ラマンシフトから物質を同定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、脂肪肝モデルを作成し、正常肝と比較して温虚血再灌流障害の影響を解析した。具体的には、高脂肪食を与えることでラットに脂肪肝を誘導し、正常肝を持つラットと対比させて実験を行った。これにより、脂肪肝が作成できたことを確認した。 次に、これらのラットの肝臓に対して温虚血再灌流処置を施し、再灌流前後の肝臓組織を採取した。採取した組織はイメージング質量分析法を用いて詳細に解析した。この技術は、組織内の分子分布を可視化し、特定の分子種の変動を高精度で検出することができる。 解析の結果、脂肪肝と正常肝の間でリゾリン脂質の変動が確認された。リゾリン脂質は、細胞膜の構成成分であり、細胞の機能維持や信号伝達に重要な役割を果たす。特に、虚血再灌流障害においては、酸化ストレスや炎症反応が細胞膜に影響を与え、リゾリン脂質の変動が顕著になることが示唆された。 脂肪肝モデルでは、再灌流後にリゾリン脂質のレベルが正常肝と比較して異なるパターンを示した。具体的には、特定のリゾリン脂質の増減が観察され、これが虚血再灌流障害の程度や細胞障害の指標として有用であることが示唆された。このリゾリン脂質の変動は、脂肪肝に特有の代謝異常や細胞応答の違いを反映している可能性がある。この研究の意義は、脂肪肝における虚血再灌流障害のメカニズムを分子レベルで理解するための新しい知見を提供した点にある。リゾリン脂質の変動が、脂肪肝特有の病態生理学的変化を示す指標として機能する可能性を示したことは、今後の治療戦略の開発において重要な情報となる。ここまでを下記文献として論文作成した。イメージング質量分析を用いた分子レベルの解析手法は、幅広い疾患研究に応用可能であり、将来的には新たな治療法の創出に繋がる可能性がある。今後水素による実験に応用していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は脂肪肝の虚血再灌流障害の論文の完成に至った。しかし、質量分析データの解析が難航した。質量分析は高度な技術を要するため、得られたデータの解釈には専門的な知識と経験が必要であった。特に、複雑な化合物の同定や定量化には多くの検証作業が必要であり、その過程で試行錯誤が繰り返された。さらに、機器の調整やデータ処理においても技術的な問題が発生し、解析作業が遅延することがあった。関連する先行研究や理論に基づいて、我々の結果を解釈し、学術的な文脈に位置付ける作業も時間を要した。また、論文の構成や表現方法にも細心の注意が払われた。論文が明確で読みやすくなるよう、適切な体裁や論理的な構成を構築する作業にも多くの時間が費やされた。しかし、その結果、我々の研究成果を効果的に伝えることができ、学術的なコミュニティに貢献する論文が完成した。今後さらなる虚血再灌流障害に関わる研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪肝モデルを作成したラットを用いて、虚血再灌流障害の発生メカニズムを解析ができたため以下を行う。 ラットを4群に分け、水素ガスを含んだ灌流液を用いて、機械灌流を行う。灌流液の組成は、群1:水素ガス非含有灌流液、群2:水素ガス含有灌流液、群3:水素ガス非含有灌流液+血管拡張薬の亜硝酸エステル(NO)投与、群4:水素ガス含有灌流液+NO投与とする。水素ガスの投与量は、適宜調整する。機械灌流は、肝臓に対して1時間の虚血を誘導した後に30分の再灌流を行うことで行うがそのほかの時間でも検討を行う。再灌流前および再灌流後の血清中のアミノトランスフェラーゼ(AST)およびアルカリフォスファターゼ(ALP)の値を測定することで、虚血再灌流障害の発生状況を評価する。また、肝組織をヘモトキシリン・エオジン染色で観察し、肝細胞の損傷や炎症の程度を評価する。水素ガスを含んだ灌流液を使用した群2および群4では、再灌流前後のASTおよびALPの値が有意に低いことが予想される。また、肝組織を観察したところ、群2および群4では肝細胞の損傷や炎症が少なく、正常な肝細胞が保たれていることを期待する。これに対し、水素ガスを含まない灌流液を使用した群1および群3では、ASTおよびALPの値が有意に高く、肝組織においても肝細胞の損傷や炎症が認められる可能性がありその確認を行う。
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