オプトジェネティクスを用いた咀嚼ー唾液分泌機構の解明
Project/Area Number |
22K21047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0907:Oral science and related fields
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
梶原 里紗 昭和大学, 歯学部, 助教 (40963103)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | Phox2b / パッチクランプ / 唾液分泌 / オプトジェネティクス / ニューロン / 咀嚼 / 神経メカニズム |
Outline of Research at the Start |
唾液分泌量の低下は、栄養摂取の減少や誤嚥性肺炎のリスクを高める。唾液分泌は咀嚼時に最も活発となるため、この機構を賦活化すれば、唾液分泌の低下を改善できる可能性がある。しかし、咀嚼との関連も含め唾液分泌の中枢神経メカニズムは未解明である。申請者は、自律神経中枢の発生に関与する転写因子Phox2bを発現するニューロンが上下唾液核周辺に多数存在し刺激をすると、顎下腺を支配する上唾液核ニューロンが興奮することを発見した。そこで本研究では、パッチクランプ法やオプトジェネティクスを用いて咀嚼に伴う唾液分泌の神経メカニズムの解明を行う。Phox2bニューロンをターゲットとした新たな治療法の確立が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
生後2-7日齢のラットにイソフルラン麻酔を行い、口腔底を切開し舌神経を剖出した。その後、ニューロン標識物質が注入されたガラス管を用いて、舌神経にニューロン標識物質を注入する。標識物質が脳に到達する期間を持った後に、脳幹スライス標本を作製し、舌神経を介して標識された上唾液核ニューロンからパッチクランプ記録を行った。予備実験で行った、Phox2b陽性ニューロンが豊富に存在する上唾液核周辺を、グルタミン酸のレーザー光解離を使った微小刺激法を用いるとやはり上唾液核ニューロンに応答がみられた。当実験を何回か行い、確かに上唾液核周辺を刺激すると、上唾液ニューロンに反応があったことを確認した。 さらに、Phox2b陽性ニューロンにVenusと光感受性タンパク質のChRFR(光照射でニューロンを興奮させる)が発現する遺伝子改変ラット(Phox2b-ChRFRラット)を用いて、同様に舌神経にニューロン標識物質を注入後、脳幹スライス標本を作製した。そして、上唾液核ニューロンからパッチクランプ記録を行い、Venusの発現を指標に、上唾液核を興奮させる上唾液核駆動Phox2bニューロンが存在するであろう範囲を、オプトジェネティクス(光遺伝学的手法)と二光子レーザー顕微鏡を利用して、Phox2b陽性ニューロンを一つ一つ刺激し、上唾液核ニューロンに応答が生じるか行ったところ反応があった。以上より、上唾液核駆動Phox2bニューロンの存在が確認できた。今後は、脳幹内の上唾液核駆動Phox2bニューロンの局在範囲を解析する必要があり、さらには上唾液核駆動Phox2bニューロンが見つかれば、そのニューロンからもパッチクランプ記録を行い、相互間で実際に刺激と反応が認められるかを解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験および、Phox2b陽性ニューロンにVenusと光感受性タンパク質のChRFR(光照射でニューロンを興奮させる)が発現する遺伝子改変ラット(Phox2b-ChRFRラット)を用いた実験により、上唾液核駆動Phox2bニューロンの存在が確認できたが、脳幹内にPhox2bニューロンが多数存在するため、上唾液核駆動Phox2bニューロンの局在性を解析するのが非常に困難である。また、1つのニューロンを特定するのに要する時間が長く、ニューロンの状態を最適に維持することが困難であったため、上唾液核ニューロンにパッチクランプをすることは可能であるが、相互する特定の上唾液核駆動Phox2bニューロンをまだ断定できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
①上唾液核駆動Phox2bニューロンの局在性を解析するのが非常に困難である →今まで使用していたレーザーの照射範囲をさらに狭い範囲に絞り、上唾液核駆動Phox2bニューロン局在性をより解析する。 ②1つのニューロンを特定するのに要する時間が長く、ニューロンの状態を最適に維持することが困難である →パッチクランプの技術の改善を図り、上唾液核ニューロンからパッチクランプ記録を短時間に行えるようにする。また、ニューロンの状態が維持できるように、細胞外液の調整や、レーザー照射の手順など実験方法を改善する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
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[Presentation] Physiological and morphological characterization of Phox2b-expressing neurons in the rat rostral parvocellular reticular formation2022
Author(s)
Kajiwara R, Nakamura S, Ikeda K, Onimaru H, Yoshida A, Tsutsumi Y, Nakayama K, Mochizuki A, Dantsuji M, Iijima T, Inoue T
Organizer
第99回 日本生理学会大会
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