原子力災害から10年が経過した福島県内と県外住民へのリスクコミュニケーションの検討
Project/Area Number |
22K21118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0908:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
肖 旭 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (00960890)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 福島原発事故 / リスク認知状況 / 放射線被ばく / 福島第一原子力発電所事故 / 県内と県外避難住民 / リスク認識 / 帰還企図 / メンタルヘルス |
Outline of Research at the Start |
東京電力福島第一原子力発電所事故から11年後の現在、福島県双葉郡双葉町ではようやく準備宿泊が開始されたが、双葉町住民の35%以上が県外に避難を継続しており、帰還意志を有する住民は全住民のわずか1割に留まっている。避難者の帰還企図は避難所住民の生活の質、放射線リスク認識、避難先の位置、受けた地域社会の支援内容等に大きな影響を受けることが明らかになっている。本研究は、双葉町住民を対象にアンケート調査を実施することにより、避難先の違いが、帰還企図、放射線リスク認識、およびメンタルヘルスやQOLの指標に与える影響を明らかにし、復興に向けた最適なリスクコミュニケーションのあり方を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故から12年が経ち、復興は進んでいるが、依然として多くの住民が避難を続けている。避難区域が再編される中、帰宅する住民や移住を決めた住民、そして帰還か移住か悩む住民など、様々な立場の人々が存在する。 本研究では、東京電力福島第一原子力発電所事故から11年後に帰還を開始した福島県双葉郡双葉町住民の帰還企図、放射線リスク認知や、政府の放射線対策に対する認識度、処理水の放出に対する不安、生活の質や心理的健康状態などの変数を分析し、放射線リスク認知に影響を与える主要因子を把握することを目的とする。また、避難地域の異なる住民の帰還企図を分析し、リスクコミュニケーションの重点対象や内容、効果的なコミュニケーション方法を見つけ出すことを目指す。 2022年6-7月に、福島県内、および県外に避難している双葉町住民にアンケート用紙を送付した。回答した404名のうち、福島県内に居住する者は274人(67.8%)、県外に居住する者は130人(32.2%)であった。県内と県外避難者の間で帰還企図、処理水の放出に対する不安、水道水に対する不安、双葉町の整備等への期待している住民の頻度に有意差は認められなかった。 一方、県内避難者は、定期通院患者の割合が高く、放射線相談施設を知っている人が多かったのに対し、県外避難者は、双葉町に住むことによる健康影響への懸念や放射線が次世代に影響を与える可能性についての懸念を抱く割合が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年から住民の方には戸別訪問、放射線相談窓口開設、意見交換会を兼ねて、リスクコミュニケーションをしている。アンケート調査を実施した。住民のリスク認識、生活の質、メンタルの状態、町の再生への期待などのデータを、アンケートで収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究対象者】対象者は調査時に双葉町に住民票があり、かつ双葉町役場からの郵送物を受け取ることのできる 18 歳以上の住民の中で、本研究への同意が得られた者とする。約 8,000 名を予定。 【計画】双葉町の住民に、研究説明書、無記名の自記式質問紙調査票、返信用封筒を郵送で配布する。自記式質問紙調査票には、基本属性、社会的因子(家族構成、双葉町のインフラ整備、教育・医療体制整備等への期待、被ばく線量測定経験の有無、被ばく医療の専門家への相談の希望等)、帰還企図、避難継続の有無、放射線被ばくと健康影響のリスク認知に関する質問及び、処理水の放出に対する関心度、メンタルヘルス、QOL の指標を含める。放射線被ばくに関するリスク認知については、「避難解除後の双葉町で暮らすことで自分や子供、次世代に健康影響が起こると思うか?」、「避難解除後の双葉町で生活は不安がありますか?」といった質問を中心とし、福島県で行われている福島県民健康調査との比較ができるようにする。 さらに、避難先やリスクコミュニケーションが住民の放射線リスク認知や帰還企図に与える影響はロジスティック回帰分析を用いて解析し、2022年の結果と比較する。研究協力の同意は、自記式質問紙調査票に回答し、長崎大学の研究担当者に返送することで得られたものとする。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)