乱用薬物による中枢神経障害の神経病理学的探索:免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
22K21132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0908:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高山 みお 福岡大学, 医学部, 講師 (40804802)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 法医学 / 神経病理学 / 免疫組織化学的染色 / 薬物乱用 / 法医病理学 |
Outline of Research at the Start |
現在、覚せい剤や大麻、危険ドラッグなどの薬物乱用は大きな社会問題である。特に、青少年への広がりは、中枢神経機能への影響の面からも懸念されている。私は、これまで法医剖検例の脳について、神経病理学的所見を免疫組織学的に検索し、病理変化と死因および死亡前の病態との関係について検討を行ってきた。本研究では、覚せい剤や危険ドラッグなど薬物乱用が明らかな症例の脳を、免疫組織化学的に染色し、神経細胞、アストロサイト、ミクログリアの細胞毎に、傷害の特徴や程度を検討することで、薬物乱用に関連した症例の診断に有効な病理変化を解明し、得られた神経病理学的変化の剖検診断への応用を行うことを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
覚せい剤や大麻ばかりでなく、危険ドラッグなどの薬物が関与する死亡例、交通事故などが起きており、薬物乱用は、益々大きな社会問題となっている。本研究では、これらの乱用薬物が関与する死亡例や、処方薬・OTC薬でも多量に服薬し薬物中毒死と診断された症例を対象とした。これらの症例の脳を用いて、薬物乱用に関連した症例の診断に有効な神経病理学的変化について研究し、診断方法を作成することを目的としている。観察部位は大脳皮質、大脳基底核、海馬、小脳、脳幹部について、組織化学的染色であるHE染色、LFB染色、および神経細胞、アストロサイト、ミクログリアを標的とする抗体、各種の栄養因子、腫瘍壊死因子、成長因子に対する抗体を使した免疫組織化学的染色を行っている。海馬と小脳に関して、どのような病理変化が認められるのかを、薬物が関連した症例や薬物中毒死の14症例について原著論文として発表した。14症例において、HE染色、LFB染色やMAP2、GLUT5、NeuN、Hsp70、GFAPの抗体を用いた免疫組織化学的染色を行ったところ海馬のCA2とCA1の錐体細胞がCA3の錐体細胞よりも減少していた。小脳のプルキンエ細胞の陽性率は、MAP2で28.6%、GLUT5で64.3%、Hsp70で42.9%であった。これらの結果より、薬物摂取により海馬のCA2、CA1の錐体細胞や小脳のプルキンエ細胞は障害を受けている可能性が考えられた。特に神経興奮性、刺激性の薬物にみられる傾向があると考えられた。今後も薬物関連の症例を集め、観察部位を広げ、病理学的変化を観察し、診断につながる所見を研究していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
薬物関連の症例を新たに集めながら、免疫染色を行っている。薬物関連の症例は、興奮性や抑制系など様々な作用の薬物であったり、複数の薬物を使用している症例など、症例の内容は様々であるため、使用された薬物の影響を比較・検討するための症例数が集まっていない。小脳と海馬に関しては原著論文を作成しているが、大脳皮質等の他の観察部位での検討ができていない。また、ミクログリアの変化を観察するため一次抗体を数種類試しているが、非特異的に染色される部と陽性である部が区別しにくく、病理学的変化の観察に苦慮している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も、薬物関連の症例を集めているが、すでに集積している症例に関して、海馬、小脳だけでなく、大脳皮質、大脳基底核、脳幹部を染色し、観察、評価を行っていく。免疫染色では、陽性の判断が難しい抗体もあり、神経細胞、アストロサイト、ミクログリアの細胞ごとに観察するために特異的な抗体を検討しなければならないと考えている。観察部位別、細胞別に、障害の特徴やその程度を検討し、特に障害の程度では可視化し、数値化できれば、診断に用いやすいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)