脊髄損傷後の運動機能回復に関わる外部刺激効果特性の解明
Project/Area Number |
22K21240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0909:Sports sciences, physical education, health sciences, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上野 里子 京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (50967536)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 脊髄損傷 / 運動機能回復 / リハビリテーション / 把持運動 / 皮質電気刺激 / ウイルストレーサー / 電気刺激 |
Outline of Research at the Start |
脊髄損傷により大脳皮質からの運動指令が筋肉に伝わらなくなると運動機能が損なわれる。これに対して、リハビリテーションや皮質電気刺激など、外部からの刺激により運動機能が回復されることが知られている。本研究では、ラットの脊髄損傷モデルを作成し、リハビリテーションまたは皮質電気刺激、あるいはこれらを併用することで運動機能回復を誘導し、その基盤となる神経経路の可塑的な変化を組織学的に解析することで、脊髄損傷後の運動機能回復を引き起こすトリガーとなる外部刺激の特性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷後の運動機能回復に効果的な外部刺激特性を明らかにするために、ラットを用いて(1)脊髄損傷の作成、(2)運動機能の評価およびリハビリテーションとしての行動実験、(3)大脳皮質運動野の電気刺激実験、さらには(4)ウイルストレーサーの注入による神経経路の標識という複数の実験を組み合わせて実験を行った。 これまでに、頚髄レベルの半切により損傷側前肢特異的に運動機能障害を呈すモデルを確立し(1)、大脳皮質運動野に慢性留置したマイクロ ECoG 電極を用いた電気刺激実験を複数回行い、歩行運動が改善されることを観察した(2-3)。頚髄半切後、ラットは体重を保持できずに体を引きずるように歩行したが、数週間でスムースに移動できるようになった。これは、大脳皮質電気刺激の有無にかかわらずある程度観察されたが、電気刺激自体が回復を促進するような特性をもつかどうかについては、より巧緻な運動機能を観察することでさらなる知見が得られると考える。運動機能回復後、脊髄損傷尾側において逆行性ウイルストレーサーを注入し、神経線維の投射経路を標識した(4)。組織学実験の結果については引き続き解析を進めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、頚髄半切による損傷作成、損傷対側運動野へのマイクロ ECoG の慢性留置および電気刺激実験、open-field における歩行運動の観察、脊髄(損傷尾側)への逆行性ウイルストレーサーの注入を同一個体にて行った。脊髄損傷後は歩行運動に顕著な障害が見られたが、その後は歩行速度、頻度とも回復する様子が見られた。一方、マイクロ ECoG 電極を頭部に慢性留置したが、強度が十分でなく外れてしまうことがあり、固定方法の改良のために想定よりも個体数と時間を要した。現在は運動機能回復の観察に十分な期間留置することに成功したが、これらの実験を把持運動トレーニング個体に組み合わせる段階までは到達していない。大脳皮質運動野への電気刺激が運動機能回復に効果的かどうかを確認するためには、より詳細な運動の観察と組織学実験が必要であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
トレーニングにより把持運動を習得したラット対して、これまでに行ってきた実験を組み合わせて行う。まずは大脳皮質運動野にマイクロ ECoG 電極を留置し、損傷前の電気刺激実験データを得る。続いて頚髄 C5/6 レベルにて脊髄を半切し、4週間にわたって把持運動による行動実験と大脳皮質電気刺激実験を行い、損傷前後の運動機能を評価する。運動機能が十分に回復した段階でウイルストレーサーを注入し、神経経路を標識し脳脊髄を採取する。運動機能については把持の成功率をもって回復を評価する。また、運動機能回復に伴い神経経路の投射様式にどのような変化が生じうるのか、免疫組織染色など組織学実験により調べる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)