電子構造論に基づく貴金属回収に有効な抽出剤スクリーニングモデルの構築
Project/Area Number |
22K21334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
1101:Environmental analyses and evaluation, environmental conservation measure and related fields
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
土田 裕介 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 助教 (00966517)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 溶媒抽出 / 貴金属元素 / イオン液体 / 量子化学計算 / COSMO-RS法 / 貴金属 / 多変量解析 / 定量的構造物性相関 / 電子構造論 |
Outline of Research at the Start |
本研究の狙いは,電子構造論に基づいて算出される種々のパラメータから,貴金属分離に最適な抽出試薬の構造を事前にスクリーニングし,試薬設計の高速化に資することである.溶媒抽出法は貴金属回収プロセスにおいて重要な位置づけである一方で,その反応は錯形成から相分離に至るまで複雑であるため,モデル構築が難しい側面がある.本研究では,貴金属をターゲットとした溶媒抽出において,特定の抽出剤がどれだけの分離性能(分配比,分離係数)を示すかを予測できるモデルを統計的な側面から構築を試みる.
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Outline of Annual Research Achievements |
持続可能社会の実現にあたり、貴金属元素のリサイクル技術の最適化は極めて重要な要素の一つである。本研究では、貴金属元素のリサイクルプロセスのうち、溶媒抽出に用いる抽出剤の最適化を目的として、分子モデリングから抽出平衡定数を予測するための必要な要素の探索を行った。 当該年度は種々のホスホニウムイオン液体と、それに対応するアンモニウムイオン液体の抽出平衡定数をスロープ解析から取得した。その結果、ホスホニウムイオン液体は一貫してアンモニウムイオン液体よりも高い抽出平衡定数を示すことがわかった。 得られた抽出平衡定数を従属変数とした時に、説明変数として機能する可能性をもつパラメータとして、イオン化ポテンシャル、電子親和力、化学硬度、溶媒和エネルギーを量子化学計算から算出した。また、COSMO-RS法を用いて、種々のカチオンにおける水相ージクロロエタン相間の分配定数を算出した。特にCOSMO-RS法から算出した分配定数が抽出平衡定数と良好な線形関係にあることが明らかとなった。このことから、ホスホニウムイオン液体が対応するアンモニウムイオン液体より高い抽出平衡定数を示す所以はホスホニウムイオン液体の高い疎水性による可能性が推察された。 この結果は、水相中における、Au(III)とカチオンとの会合体の形成過程より、その後の有機相への分配過程が特に強く相関することが考えられる。したがって、イオン液体系溶媒抽出において、疎水基の導入が抽出平衡定数の向上に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、貴金属元素を対象として抽出平衡定数を予測できるパラメータを探索することであった。本研究で対象としたイオン液体はホスホニウムイオン液体とアンモニウムイオン液体に限ってはいるものの、相互作用が異なる2つのカチオン種について、ひとつの回帰式で表現できた点は、本研究の目的を概ね達成できていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、ピリジニウムカチオンのような異なる骨格を持つカチオン種や、特定の置換基を導入した系に対する相互作用の制御を検討したい。これにより、現在の回帰式の適用範囲を明確にし、さらに異なるカチオン構造に対する補正を導入することで、より広範囲に適用可能な回帰式の開発を目指したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)