Advancements in Experimental Economics through Open Science and Meta-Science
Project/Area Number |
22K21358
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Home-Returning Researcher Development Research)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Social Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 泰佑 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80971960)
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Project Period (FY) |
2023-03-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥55,380,000 (Direct Cost: ¥42,600,000、Indirect Cost: ¥12,780,000)
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Keywords | オープンサイエンス / メタ科学 / 実験経済学 / 再現性 / 事前登録 / 行動経済学 |
Outline of Research at the Start |
「実験結果の再現性」や「出版バイアス」が自然科学と社会科学で問題となっている.これらの問題の解決のために「オープンサイエンス」と呼ばれる取り組みが提案されてきたが,経済学研究への効果は未だ明らかにされていない.本研究では実験経済学におけるオープンサイエンスの現状を,詳細なデータ構築とアンケート調査により検証する.また,出版バイアスを補正し既存の知識を統合する「メタ分析」と,統計的学習理論を応用した「適応的実験デザイン」の有用性を,行動経済学への応用を通じて明らかにする.これらを通じて,制度設計や政策立案の現場への応用が広がる行動・実験経済学の透明性と信頼性を向上するアプローチを議論する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では以下の三つのプロジェクトを実施する。1)社会科学研究の効率的な統合と仮説立案のためのメタ分析手法の開発。2)統計的学習理論を用いた適応的実験デザインの応用。3)オープンサイエンスの取り組みの検証と今後に向けた提言。
本年度は主にプロジェクト1、3で成果を上げた。プロジェクト1においては、研究結果の解釈を助ける効果が期待される「実験結果の(事前)予測」という新しい実験手法に関して、既存の研究を整理、データベース化し、メタ分析を行った。現在は論文の執筆段階であるが、既にセミナーやワークショップでの報告を通じて有益なフィードバックを得ている。ここで得られた知見は、「カーボンプライシング政策の受容性」に関してドイツで実施した大規模オンライン調査にも応用し、その有用性を示している。プロジェクト3においては、アメリカ経済学会の年次総会でEconomic Science Associationが企画したセッションにパネリストとして登壇し、「実験経済学における再現性の現状と展望」というテーマで議論する機会を得た。またヨーロッパで実験経済学者を対象として実施したアンケート調査の分析を進め、Berkeley Initiative for Transparency in the Social Sciencesの年次大会で結果を報告した。
これらのプロジェクトを進める過程で、国際的な実験経済ラボのネットワーク構築の構想が立ち上がった。現在は、実現に向けてオーストリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、英国の共同研究者らと議論を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メタ分析に用いるデータの整備や実験ソフトウェアの開発をサポート可能なポスドクや研究助手を雇用予定であったが、分野横断的なプロジェクトのため適任者を見つけることができなかった。プロジェクト2は計画通りに進めることができず、方針の修正が必要になった。一方でプロジェクト1、3に関しては、論文はまだ完成していないものの既に複数の報告機会があり、論文の質を高める有益なフィードバックが得られたことから、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト1は進行中のメタ分析の論文執筆と並行して、データベース”Meta-analysis in Behavioral Economics”の構築と公開準備を進める。この取り組みの一部を国際学会で報告し、学会レベルでの活動も含めて今後の方向性に関するアイディアを議論する。プロジェクト2は応用課題のデザインや数値シミュレーションなど事前準備を重点的に進めることで、ソフトウェア開発から実験実施へとスムーズに移行できる態勢を整える。プロジェクト3は論文の学術誌への投稿を目指す。また国内の実験社会科学者を広く対象として、「オープンサイエンスの取り組み」に関する態度や実施状況のアンケート調査を行い、欧米のデータとの比較も含めて結果を学会で報告する。最後に、実験経済ラボの国際ネットワークは、広く社会科学全体で実験研究が今後進むべき方向性の一つとして有望である。各国の共同研究者との議論を継続し、長期的な視点から設備やルールづくりを含めて準備を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)