Project/Area Number |
22KF0029
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Project/Area Number (Other) |
22F21050 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西脇 智哉 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60400529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUPIT STEVE 東北大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 超高強度セメント系複合材料 / ナノ繊維 / マクロ繊維 / セルロースナノファイバー / 補強繊維 / 力学特性 / 微細構造 / 耐久性 |
Outline of Research at the Start |
圧縮強度200N/mm2超級の超高強度モルタルを対象に、ナノ~マクロレベルのサイズの異なる各種補強繊維を組み合わせて用いることを提案し、力学特性や耐久性の飛躍的な向上を実現するための調合設計方法の確立を目指す。ここでは、セルロースナノファイバー(CNF)などナノサイズの補強繊維から、鋼繊維や合成樹脂繊維など汎用的なミクロン・ミリメートルオーダーの補強繊維までを組み合わせ、相乗効果を引き出して性能向上を実現するための調合設計方法の確立を目指す。このことにより、建築材料として極めて高い力学特性や耐久性を実現させて、建築物やインフラ構造物のメンテナンスフリー化を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、圧縮強度が150 N/mm2程度以上の超高強度モルタルに対して、ナノレベルからマクロレベルまでの各種補強繊維を組み合わせて用いることにより、力学特性や耐久性の飛躍的な向上を実現するための調合設計方法の確立を目指した検討を行っている。ここでは、セルロースナノファイバー(CNF)をはじめとするナノサイズの補強繊維から、針状の構造を持つ鉱物であるワラストナイト、鋼繊維や合成樹脂繊維などに代表されるミクロン・ミリメートルオーダーの補強繊維を組み合わせて用いることを検討し、性能向上を実現できる調合を見出すための検討を、実験を中心に行った。 圧縮・曲げ・引張・引抜試験などを実施し、それらの結果から異なるスケールの繊維間の相互作用により、マトリックス部分が補強されることでマクロ繊維(鋼繊維)の付着性状と引抜強度の向上することを確認した。ナノ繊維は微細ひび割れの発生とその成長を制御できる一方で、靭性への影響は極めて限定的であり、靭性の向上に寄与するミクロ繊維との組み合わせにより靭性の向上に寄与する。加えて、吸水性や塩化物透過性など耐久性に影響する項目についても、腐食促進試験により検討した。ナノ繊維とミクロ繊維を適切な量で組み合わせは、水和反応の継続に寄与してマクロ繊維とセメントマトリックス間の界面領域の改善に寄与することを確認した。これらの性状は、水和生成物中の微細構造の変化と生成相を、SEM観察、XRDなどの試験により評価した。一例として、ワラストナイトは養生期間中にケイ酸カルシウムイオンの放出などにより反応を促進して強度増進に寄与する。また、ワラストナイトの吸水性により、補強繊維とセメントマトリックス界面の緻密化に寄与するものと考えられる。また、反応性の高いCNFは核生成サイトとして機能し、セメント水和の初期段階を促進させて圧縮強度や曲げ強度の向上に寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の期間内には、当初の計画の通り、ナノレベルの補強繊維を含む原材料の入手と調整から試験体の作製、調合設計、力学特性の確認、微細構造の観察と耐久性試験の実施と検討を進めてきた。試験体の作製においては、主にナノ系材料について凝集を抑えながら適切に分散させる方法を検討し、超高強度モルタル中に均質に分散できることを確認した。これを踏まえて各種の補強繊維や混和材・混和剤などの調合設計と、得られるモルタルの圧縮強度・引張強度・曲げ強度などの力学特性に関する実験検討を実施した。これに加えて、吸水試験や塩化物透過試験などを実施して、耐久性に関する試験結果を得た。ただし、これらの実験は経過観察のための時間が必要となるため、本招へい期間が終了後にも継続する計画をしており、そのための体制も構築している。微細構造の観察についても、SEM観察、XRD、FT-IRおよびナノインデンテーション試験などを実施して超高強度モルタルに対するナノ繊維混入の影響を確認した。このように、当初計画していた実験などを主体とする検討は予定通り実施することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
繊維補強システムの特性は、補強繊維のサイズ・形状・材質・力学特性・化学特性などの各種特性と、繊維とマトリックス間の付着特性に影響を受けることが明らかとなった。これらを制御するための要因を確認する必要がある。したがって、残る研究期間では、モルタルやペーストの試験片における水和生成物の形成、特に強度発現の主要因となるC-S-Hやポルトランダイトをより詳細に調査するために、熱重量分析(TG-DTA)や水銀圧入ポロシメータによる細孔構造の計測などを、複数の補強繊維を組み合わせる前後で評価することにより、超高強度モルタルのハイブリッド繊維補強化システムの微細構造特性に及ぼす影響ついてより包括的に検討を行う。これに加えて、促進腐食試験、透水試験や吸水率試験などの耐久性評価試験、ナノインデンテーション試験など、ここまでに得られている実験結果について、詳細な解析を行う予定である。また、これらの成果を広く公表するために、国際誌への投稿を準備中である。
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