Project/Area Number |
22KF0046
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Project/Area Number (Other) |
22F22712 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
脇山 義史 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (40594792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHABOCHE PIERRE-ALEXIS 福島大学, 環境放射能研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2024: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | セシウム137 / 土砂供給源 / 沿岸海域 / ダム貯水池 / 底質 / 土砂動態 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、福島地域に沈着したセシウム137の動態解明を目的として、フィンガープリンティング法を用いたセシウム137供給源推定を行う。ダム湖の底質・沿岸海域の海底堆積物・河川中の土砂を採取し、窒素・炭素安定同位体比などのトレーサー項目の分析を行い、それらを流域内の森林・農地などで採取した土壌の分析値と比較することにより、放射性セシウムの供給源と寄与率を定量的に評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、請戸川の大柿ダムおよび太田川の横川ダムから採取した底質コアと両河川の沿岸海域で採取した3つの海底堆積物コアの分析を行った。外部機関において、蛍光X線スキャナーによる高分解能元素深度分布などの分析を行った。また、層別試料について、粒度、有機物組成(炭素・窒素の安定同位体比と含量)、蛍光X線分析による元素組成の測定を行った。大柿ダム・横川ダムの底質コア中のセシウム137深度分布から堆積後のかく乱が少ないことが確認され、2011年から2022年までの土砂供給源の時間的変化を復元することができた。大柿ダムの底質の粒度分析、蛍光X線分析等の測定値から、福島事故以降、少なくとも5回の出水イベントが底質コアに記録されていると推定された。有機物に関する測定値から、福島原発事故後の数年間は事故前のレベルと比較して森林からの寄与が大きかったことが示唆された。また、底質最表層では相対的に炭素含量が低く、流域内の除染地からの土砂の流入が示唆された。横川ダムでは、深部にセシウム137濃度と鉄含量のピークが見られた。他項目の分析結果との比較に基づき、2015年9月の台風Etauにともなって流入した土砂に由来すると考えられた。海底堆積物コアの分析結果から、海底地形の特徴が、沿岸流域の河口における汚染堆積物の空間的・深度的分布を支配する重要な要因であることが確認された。本研究で得られた知見は、セシウム137で汚染された流域およびその沿岸海域の土砂の供給源や堆積域の時空間分布に関する理解を深める上で重要な示唆を与える。得られた結果をもとに国内学会での発表、論文投稿を予定している。また、土砂供給源の推定に関連した解析結果の一部を提供し、福島原発事故後の除染に関する総説論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機器の修理・保守のため、一部の分析に遅れが生じたが、2024年4月中に予定した分析が完了した。得られたデータや解析結果は共同研究者とも共有し、公表に向けた準備を進めている。総じて計画に沿ってプロジェクトが進行しており、相当の成果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はデータ解析と成果公表に注力する。これまでに採取・分析した底質コア・海底堆積物コアの結果に基づいて、セシウム137の潜在的な供給源(森林、農地、下層土)の相対的な寄与を定量化するために、最適なトレーサーの組み合わせを選択するための統計処理を継続的に実施する。得られた知見を国内学会および国際誌上に公表する予定である。
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