Project/Area Number |
22KF0424
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Project/Area Number (Other) |
22F21729 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
野牧 秀隆 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 上席研究員 (90435834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RICHIRT JULIEN 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 貧酸素適応 / 液胞 / バイオメトリクス / X線CT |
Outline of Research at the Start |
硝酸塩呼吸をおこない、海底での窒素循環に大きく貢献しているとされる有孔虫が、硝酸塩濃度に応じても壁孔の大きさを変えて硝酸を取り込むとともに、硝酸塩の蓄積場所であるとされる液胞の体積と表面積のトレードオフが、有孔虫の硝酸塩呼吸活性により変化する、という有孔虫の硝酸塩呼吸機構に関する仮説を、SEM、TEM、マイクロX線CTを用いた細胞レベルバイオメトリクスと計算モデルにより証明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
相模湾深海底から採取した堆積物を深度ごとにサンプリングし、有孔虫Bolivina spissaを酸素濃度および硝酸塩濃度の異なる環境(堆積物深度)ごとに分取した。また、Bolivina spissaを異なる酸素濃度、硝酸塩濃度に暴露した飼育実験を行い、液胞のサイズなどにどのような変化が見られるかも検討した。有孔虫試料はグルタールアルデヒドを用いて固定し、樹脂包埋、金属染色後にマイクロフォーカスX線CTを用いた内部微細構造解析を行った。得られたデータを3次元画像構築・解析ソフトを用いて解析し、環境間・種間で硝酸塩を貯める液胞の大きさ(表面積、体積)や数に違いがみられるかを検討した。 生息深度や飼育実験環境における酸素濃度、硝酸塩濃度の違いと、液胞の表面積、体積、個数には明確な関連が見られなかった一方で、房室ごとの液胞サイズには、初室側、最終室側、中間部で一貫したパターンが見られた。TEM観察により液胞の周辺を観察すると、液胞の周囲に配置される細胞小器官の様子に違いが見られた。さらに、Cryo-SEM-EDSを用いて硝酸塩に由来する窒素が液胞にどのように含まれているかを解析したところ、特定の液胞に集中している様子が見られた。このことは、実体顕微鏡、透過型電子顕微鏡像では同じに見える液胞が、それぞれ異なる役割を持つことを示す。実際に、Cryo-SEM-EDSによる元素分析では、貧酸素代謝に関連する特定の元素を濃集させた、TEM像では液胞に見える細胞小器官が見つかった。一連の研究により、大型単細胞生物有孔虫の貧酸素環境での適応においては、硝酸塩を用いた脱窒だけではなく多様な貧酸素代謝の組み合わせが行われていることが明らかになった。
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