π共役系の切断と劇的な構造変化を引き起こす光応答性材料の開発
Project/Area Number |
22KJ0020
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Project/Area Number (Other) |
21J20973 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲葉 佑哉 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | Calix[3]pyrrole / 酸応答性 / ピロール / ひずみ分子 / マクロサイクル / 環拡大反応 / 光応答性材料 / π共役系 |
Outline of Research at the Start |
光の刺激によって劇的に物性が変化する材料の開発を目指す。これまでに発見した光応答性素子を化学修飾することによって吸収/発光特性やバンドギャップ、電子移動挙動、溶解性、結晶性などの劇的な変化を引き起こす材料へと展開する。さらに、熱刺激等による可逆性の検討も行い、分子設計にフィードバックすることによってさまざまな物性の変化を制御可能な材料の開発に繋げていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、これまでに合成を達成したCalix[3]pyrroleという分子が酸によって迅速な環拡大反応を起こすのに対して、ホウ素を中心に導入したホウ素錯体とした際に高い酸安定性を示すことを見出した。この酸安定性は、Calix[3]pyrroleのホウ素錯体が酸に対してピロール部位のプロトン化およびホウ素上への共役塩基の配位による付加体の形成という両性的な反応性に起因することを見出した。さらに、この酸安定性を参考に、BODIPY部位を導入した環状BODIPYを設計、合成することで、強酸中や超酸条件にも耐えうる酸耐性BODIPYを得た。このBODIPYは酸性条件下でも脱ホウ素化反応を起こさない他、酸によるプロトン化で蛍光のスイッチングが可能であっため、固体超酸の染色や酸性固体・ゲルの染色および中和の可視化に利用可能であった。 以上のように、本研究期間を通じてCalix[3]pyrroleという分子やその関連化合物における性質や酸に対する応答性を解き明かしてきた。Calix[3]pyrroleやその類縁体は高度な歪みを有する化合物であり、酸性条件下では即座に環開裂・再結合することで二倍サイズやそれ以上の大きさの環を与えるという興味深い反応性を示すことが明らかとなった。この反応性は歪みの大小によって変化し、歪みが大きな類縁体では反応性が著しく高いことも明らかとなった。その他、3つの異なるヘテロ環を導入した類縁体では芳香環の反転抑制によるキラリティの発現が確認されたほか、ホウ素錯体や類似化合物では酸に対して高い安定性を見せることも明らかとなった。本研究開始時点では劇的な物性変化を起こす光応答性材料の開発を目指していたため、当初の目的とは異なる部分での発展が見られたが新たな刺激応答性材料の発見とその制御に関して深い知見を得ることができ、今後の発展が期待される結果を得ることができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(17 results)