氷床コアを用いた植物プランクトン由来の硫黄化合物の変遷解読と大気環境への影響解明
Project/Area Number |
22KJ0050
|
Project/Area Number (Other) |
22J10351 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒崎 豊 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 海氷後退 / 硫化ジメチル / メタンスルホン酸 / アイスコア / グリーンランド氷床 / 季節海氷域 / 雲 / 植物プランクトン / グリーンランド / 海氷 |
Outline of Research at the Start |
硫酸などの硫黄化合物は地球大気の放射収支を変化させる主要な成分の一つである。海洋生物活動を由来とする自然由来の硫酸および硫黄化合物の放出量の見積もりは不十分であり、放射収支に与えるインパクトも明らかになっていない。本研究では、自然由来の硫黄化合物が大気環境に与える影響とその過程を明らかにするため、(1)グリーンランド沿岸部で採取された氷床コアの解析から、海洋から大気への硫黄化合物の放出量の経年変化とその要因を明らかにすること、(2)グリーンランド沿岸においてエアロゾルと水蒸気観測を行い、季節海氷域における海氷変動が硫黄化合物の放出過程に与える影響を明らかにすること、を目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
グリーンランド南東沿岸海域からの海洋生物由来の硫黄化合物放出量の増加が雲に与えた影響を理解するために、欧州宇宙機関が提供している衛星雲観測データセットを使用して、1998年~2001年と2002年~2014年の雲特性の比較を行った。その結果、夏の硫黄化合物放出量が増加した2002年~2014年の方が、グリーンランド南東沿岸海域において雲粒数濃度が有意に高いことが示された。当海域からの硫黄化合物放出量の増加は、硫酸エアロゾルの生成・変質を経て雲粒数濃度を増加させた可能性が示唆された。 グリーンランド北西部季節海氷域からの海洋生物由来の硫黄化合物放出量の変化とその変動要因を明らかにするために、2023年4月9日~11日にかけて、グリーンランド北西部シオラパルク村から北に約40kmの氷床上(標高1278m)まで犬ぞりで移動し、積雪表面から4.12mまでの化学分析用の積雪を採取した。採取した積雪には、2019年~2023年の海洋生物由来のメタンスルホン酸(MSA)の季節変化が保存されていた。本観測データは、シオラパルク村で行った大気エアロゾル観測との比較を可能にするものである。 研究期間全体を通じて、グリーンランド南東ドームアイスコア中のMSA堆積フラックスの解析から、グリーンランド南東沿岸部では、海氷融解の早期化に起因して2002年以降の夏に海洋生物由来の硫黄化合物の放出量が増加している観測的証拠を示した。また、同海域では雲粒数濃度が増加しており、海氷融解の早期化に伴う硫黄化合物放出量の増加が気候に与える影響を、気候モデル等を使用して評価することの重要性を示した。グリーンランド北西沿岸部では、通年のエアロゾル・気象観測と冬から春にかけての降雪採取、氷床上の積雪採取を行い、季節海氷域における硫黄化合物放出量の変化とその変動要因の解明に貢献し得る貴重なデータを得た。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)