Project/Area Number |
22KJ0077
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Project/Area Number (Other) |
22J11748 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology (2023) Hokkaido University (2022) |
Principal Investigator |
シン 飛龍 東京工業大学, 元素戦略MDX研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ハイエントロピー / 金属間化合物 / プロパン / CO2 / 触媒 / プロパン酸化脱水素 / カーボンニュートラル |
Outline of Research at the Start |
メタンやCO2 といった化学的に安定な分子を有用な化学物質に変換することは通常困難である一方、近年ではシェールガスによるメタン供給量の増加やCO2 の排出削減・有効利用の機運向上を背景にその研究は加速してきている。メタンカップリングやCO2 水素化は化学工業における基幹物質であるエチレンをメタンから合成する魅力的な反応ではある。 本反応に有効な新規多元素合金触媒を開発することを目的とする。触媒材料としては5 種類以上の金属元素からなる合金材料「ハイエントロピー合金」に着目し、これまでに蓄積されてきた独自の触媒設計指針に基づき、元素選択や金属組成を適切に決定し高性能な触媒系を構築することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
金属材料は、工業、有機、製薬、および環境化学におけるさまざまな分子変換の触媒として用いられる重要な物質である。合金化による金属触媒の性能改善は古くから試みられてきているものの、2種類の金属の組み合わせや単純な混合比で達成できる性能改善にはある程度の限界があった。そのため、年々高まっていく社会の要請に応えられる高性能な触媒を開発するには、触媒設計指針や合金材料そのものにおける抜本的な革新が必要不可欠である。従来触媒をはるかに超える性能のハイエントロピー金属間化合物(HEI)とその設計指針を提案してきた。ハイエントロピー合金(HEA)は高い混合エントロピーに由来する熱力学的な安定性である材料。HEIにHEAよりさらに2つのメリットがある。1つは規則的な構造が部分的に保持されているため、複雑な選択的反応に適している。もう1つはΔHがマイナスであるため、得られるΔGもマイナスになり、安定性が大きくなる。 具体的にはCO2を用いたプロパン酸化脱水素などの反応系において、世界最高を含む極めて高い性能を示す触媒群を開発することに成功した。PtSn触媒はアルカン脱水素反応の高選択的触媒としてよく知られている、両サイトを多元素置換したHEIで極めて高い性能を示した。設計指針の例、CO2活性化能を向上させるため、Ptサイトの一部をNiとCoで置換した。一方、熱力学的安定性を高めるため、Snサイトの一部をInとGaで置換した。HEI触媒は触媒寿命と優れた熱力学的安定性を示し、元の性能を損なうことなくCO2のみで簡単に再生できる。その結果、国内外の複数の企業から本触媒技術の工業化に関するオファーを受け、現在は成型やスケールアップなど、実用化のためのステップを着々と進めている。資源(プロパン)によるプロピレン製造をカーボンニュートラル化できるため、Net Zero 2050に対する貢献も計り知れない。
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