Project/Area Number |
22KJ0105
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Project/Area Number (Other) |
22J20325 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水鳥 翔伍 (2023) 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC1)
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Research Fellow |
水鳥 翔伍 (2022) 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 協力 / コーディネーション / 間接互恵性 / 社会的ジレンマ |
Outline of Research at the Start |
相互協力が維持されている社会はそうでない社会よりも全員にとって望ましいものであるが、協力行動にはコストがかかるため、各個人には非協力をとる誘因が潜在的に存在する。人々は、繰り返される社会的交換における選択を、他者の行動に特定の仕方で条件づけることで非協力の誘因を低下させ、相互協力を達成しているものと考えられる。本研究は、数理モデルの解析と実験室実験を用い、人々はどのような仕方で他者の行動履歴からシンボルを形成し、また、それらを使って選択を条件づけるのか、明らかにすることを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、間接互恵性を成立させる新たな評価規則として、他個体の戦略タイプをベイズ推定する戦略(以下ベイズ更新戦略)を提案し、これがどの程度頑健に協力を維持できるかを検討する計画であった。ベイズ更新戦略であれば、他個体に対する評価が仲間同士でずれることで同士討ちを起こすリスクが小さく、頑健に協力を達成できるだろうと期待していたが、しかし、数理モデルを構築していく過程で重要な問題が明らかとなった。なかでも最大のものは無限に遡及する高階信念の問題である。このため、同士討ちの問題と無限に遡及する高階信念の問題の両方を回避する新たな戦略の考案に着手し、課題を整理した。 制度論や記号論、メタ倫理学における議論をレビューし、共有された記号システムによって行動を組織化する戦略(以下記号戦略)の構想に至った。この戦略は、各個体によって存在が措定される、共有された記号システムを使ってコーディネーションを達成する。この記号システムは、存在論的には「理念的実在」(盛山, 1995)であり、その内実は構成的ルール(Searle, 2010)の束である。記号戦略をとる個体は記号システムに沿って各個体や各事態に対して記号を割り当てる。このとき自分自身に割り当てられる記号も予測することができるので、各記号に対して価値を割り振ることで、行動決定ができる。あとは、コミュニケーションによって記号の割り当てがそろえば、正当化される行動と正当化されない行動に対する区別をそろえ、相互協力を頑健に維持できると考えられる。 記号戦略の具体的な数理モデルの構築に向けて参照する枠組みをサーベイした結果、マルチエージェント強化学習や集合的予測符号化理論が有力な候補であるとの結論に至った。ただし、「道徳的」といった抽象的な記号をどこまで扱えるかは課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初構想していた戦略とは異なる戦略をモデル化することとした。新たなモデルの構想にあたり、制度論や記号論、シンボリック相互作用論、メタ倫理学などの議論のレビューを独自におこなった。また、コミュニケーションのモデル化が本質的な部分として必要となるが、この分野においてこの試みはほぼ皆無であり、他分野のモデルを参考にしながら独自に構築しなければならず、参照枠組みとして利用できるものをサーベイする必要があった。これらのレビューに時間を費やす必要があったため、モデル構築を完了する段階にまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
記号戦略の数理モデルの構築と実験を同時並行で進める。数理モデルのほうに関しては、他分野の研究を参照枠組みとしながら進める。なぜなら、当該領域の先行研究にはコミュニケーションのモデル化の試みがほぼ皆無であるため、他分野の研究を参照しながら独自にモデル化をおこなう必要があるためである。具体的な参照枠組みとしてはマルチエージェント強化学習や集合的予測符号化理論を候補として検討中である。
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