生命誕生前の地球を模擬した新たなRNAモノマー生成過程の検証
Project/Area Number |
22KJ0200
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Project/Area Number (Other) |
21J22596 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平川 祐太 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ヌクレオチド / 初期地球 / 核酸塩基 / イミダゾール / リン酸 / ホウ酸 / シアン化水素 / 核酸 / 生命起源 / RNA / 化学進化 / リボース |
Outline of Research at the Start |
継続課題のため、記入しない。
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Outline of Annual Research Achievements |
初期地球環境に妥当な条件下におけるRNAモノマー(ヌクレオチド)の生成を目的とした室内実験に昨年度より継続的に取り組んでいる。昨年度はヌクレオチドの一部であるヌクレオシドの生成に取り組み、初期地球に豊富に存在したと考えられるアルデヒドおよびアンモニアからヌクレオシド類似物を生成することに成功した。本年度は、このヌクレオシド類似物をリン酸化し、ヌクレオチド類似物を生成することに挑戦した。ヌクレオチド類似物の標準試料を有機合成し、分析を行った結果、ヌクレオチド類似物が生成していることが確かめられた。この結果は、初期地球において、現在の生命が用いているものとは異なるヌクレオチドが存在し、原始的な核酸として機能していた可能性を示唆している。 この結果を踏まえて、本年度は現在の生命が用いているヌクレオチドの生成にも取り組み、上記のアルデヒドとアンモニアに加え、シアン化物を用いると現在の生命が用いる核酸塩基のうちピリミジン塩基が生成するということを明らかにした。この結果は、初期地球においてアルデヒド・アンモニア・シアン化物が豊富に存在する場所では現在の生命が用いるヌクレオチドが生成し、核酸の生成に寄与したという可能性を示唆している。さらに、本実験条件は隕石母天体中の反応とも近いと考えられ、隕石から発見された核酸塩基が、アルデヒド・アンモニア・シアン化物を出発物質とした水熱反応で生成したという説を実験的に裏付けるものとも言える。 本年度はさらに初期地球に存在したと考えられるイオンの効果を検証し、特殊なリン酸(アミドリン酸)とホウ酸の働きにより、ヌクレオチドを構成する糖であるリボースが活性化され、核酸塩基と反応しやすくなる効果があるという実験結果が得られた。この結果は、初期地球に存在したイオンの働きにより、核酸の進化が促されたという説を補強するものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の方針であった、ヌクレオシド類似物のリン酸化に取り組み、予定通りリン酸化物の生成を確認した。分析条件の検討についても順調に進行し、適切な分析手法の開発に至った。また、シアン化物を用いて現在の生命が用いている核酸塩基の生成に成功した点は、当初の目標以上の成果であり、大きな進展である。これらに加え、アミドリン酸とホウ酸による、現在の生命が用いるヌクレオチド前駆体の生成という新たな方向性の研究にも発展することができた。従って、本年度に得られた成果は当初の計画以上に進展しているものであると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって生成した、現在の生命が用いる核酸塩基とリボースを結合させ、ヌクレオシドおよびヌクレオチドを生成することに挑戦する。まず、現在の生命が用いる核酸塩基の生成過程を明らかにし、これらとリボースが結合するために必要な条件を検討する。 また、生命が用いている残りの核酸塩基であるプリン塩基の生成および検出にも挑戦する。分析条件を再検討し、実験試料の新たな分析前処理の方法を確立する。 さらに、アミドリン酸とホウ酸を用いたヌクレオチド前駆体の生成から、ヌクレオチドを生成する反応にも取り組む予定である。生成物は高速液体クロマトグラフィー質量分析計を用い、最適な分析条件の作成を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)