高速熱特性計測に基づく磁性金属多層膜の熱・スピン輸送機構の学理深化
Project/Area Number |
22KJ0210
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Project/Area Number (Other) |
22J00502 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 匠 東北大学, 金属材料研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | スピンカロリトロニクス / スピントロニクス / 磁性金属多層膜 / サーモリフレクタンス / 熱スピン効果 / 反強磁性体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,磁性金属多層膜に発現する熱スピン効果や巨大磁気熱抵抗効果(磁性体の磁化配置の変化に伴う熱抵抗の変調効果)をターゲットとし,微小熱制御技術の創出に向けた性能向上指針の獲得を目指す.高速熱特性計測と熱輸送解析により磁性金属多層膜中の熱・スピンのキャリアの特徴的な長さスケールを実験的に同定し,熱スピン効果や巨大磁気熱抵抗効果との相関を調査する.さらに,ホイスラー合金を多層膜のコア材料として用い,組成制御により電子構造とキャリアの長さスケールの対応関係を解明することで,材料の設計指針を見出す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,スピントロニクス分野において中心的な役割を担ってきた磁性金属多層膜の熱制御応用に向け,熱工学的な観点から機能拡張を目指す.磁性金属多層膜に発現する様々なスピンカロリトロニクス現象,特に磁性体の磁化配置の変化に伴う熱抵抗の変調効果(巨大磁気熱抵抗効果)やスピン流-熱流変換効果(熱スピン効果)の理解を深め,さらに材料工学的なアプローチにより各効果の性能向上指針を見出す. 本年度は,磁性金属多層膜の横型熱電変換性能の評価に注力した.異常ネルンスト効果に代表される横型熱電変換現象において,薄膜試料は応用範囲が格段に広がることから精力的に研究されている.しかし,薄膜の熱電変換性能を定量的に評価する手法は確立されていない.本研究では横熱電係数測定用の熱流束法と面直熱伝導率測定用の時間領域サーモリフレクタンス法,面内電気伝導率測定用の4端子法を組み合わせることで薄膜の横型熱電変換性能を定量評価することに初めて成功した.さらに本手法を有望な横型熱電材料である磁性金属多層膜に適用した.その結果,多層構造に起因して熱伝導率が低減されることや,エピタキシャル多層膜ほど電子輸送の異方性が顕著であること,そしてエピタキシャル成長が磁性金属多層膜における性能指数の増大に効果的であることを実験的に示した.本研究を通して,薄膜試料の横型熱電変換性能を定量的に評価するプラットフォームを確立した. また,巨大磁気熱抵抗効果の測定に向け,ジュール熱による温度応答をサーモリフレクタンスで検出する2ω法に基づく薄膜熱伝導率測定装置を構築した.サーモリフレクタンスによる温度検出には独自に開発した微小温度変化測定装置を活用した.測定データとのフィッティングに用いる理論曲線を多層熱伝導モデルから導出し,予備実験において Al-O薄膜の熱伝導率を測定することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は磁性金属多層膜を含む薄膜形態試料の横型熱電変換性能指数の定量評価手法を実証した.これにより,スピンカロリトロニクス分野において重点的に評価されてきた横熱電係数や電気伝導率に加え,熱伝導率を包括的に評価することが可能となり,性能評価の標準となり得る手法を確立した.本項目は当初の計画にはなかったため,本年度に実施予定だった巨大磁気熱抵抗効果を示す磁性金属多層膜の成長条件の確立を次年度に繰り越すこととなった.また,巨大磁気熱抵抗効果の評価に向けた薄膜熱伝導率測定装置は予定通り2023年度中に構築を終え,薄膜熱伝導率測定を実現することができた.よって,おおむね順調に研究が進展しているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
熱抵抗が著しく低いことから測定の難易度が高い金属薄膜に適用可能な熱伝導率測定法を確立する.さらに本手法を,磁化配置が可変の磁性金属多層膜に適用し,巨大磁気熱抵抗効果を評価する.巨大磁気熱抵抗効果が発現し得る磁性金属多層膜のエピタキシャル成長条件を確立し,磁気特性評価や熱伝導率測定を実施する.さらに,中間層の膜厚や種類を変化させることで巨大磁気熱抵抗効果がどのように変化するかを系統的に調査する.
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)