膜内電界制御と機械学習の融合に基づく人工細胞膜機能評価システムの創出
Project/Area Number |
22KJ0260
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Project/Area Number (Other) |
22J13311 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 28040:Nanobioscience-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 まどか 東北大学, 医工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | イオンチャネル |
Outline of Research at the Start |
本研究は、心臓の拍動や神経伝達等の生理現象の基本素子となるイオンチャネルタンパク質の機能評価手法を、計測方法と解析方法の二つの観点から新たに創出する。一般的にイオンチャネルは脂質二分子膜垂直方向の電圧に対する垂直方向の電流応答を観測することで機能評価されてきたが、本研究は新たな入力を加えることで電流出力制御性の向上を目指す。また、観測されたイオンチャネル電流からイオンチャネルの開閉情報を抽出する解析アルゴリズムを創案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膜タンパク質のイオンチャネルを対象とした新規な機能評価システムを、計測技術および解析技術の2つの観点から構築することを目的としている。2022年度は、解析技術の方で大きく進展したので、以下にその概要を述べる。イオンチャネルは、細胞膜におけるイオンの流出入を制御する膜タンパク質である。イオンチャネルが開口した際に生じるイオン流は電流(イオンチャネル電流)として記録することができ、さらにチャネル電流の解析によってイオンチャネルの開閉キネティクスを推定することができる。計測ノイズを含む単一チャネル電流をイオンチャネルの開状態と閉状態に対応する2つの離散的なレベルに分類するプロセスは”idealization”と呼ばれ、イオンチャネルの機能解析に欠かせない。このチャネル電流解析が種々のイオンチャネルの機能理解に役立ってきた一方で、これまでに提案されてきた解析手法は、イオンチャネルの開閉を確率モデルで表すgating schemeやノイズ除去のためのフィルター強度などのパラメータをあらかじめ設定する必要があり、解析精度はそれらのユーザが事前入力するパラメータに大きく依存してしまうという問題を抱えていた。そこで、本年度は事前のユーザ入力なしにidealization可能な適応的解析手法を創出した。擬似的に生成したイオンチャネル電流波形を対象に、上記手法及びidealization法のgold-standardとされる50%-threshold-crossing法を用いて平均開時間を算出して理論値と比較した結果、約80%のモデル電流データにおいて本手法による解析結果が優れていることが明らかとなった。上記の成果については現在peer review journalに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、心臓の拍動や神経伝達等の生理現象の基本素子となるイオンチャネルタンパク質の機能評価手法を、異なる二つの観点から新たに創出することを目的としている。 第一に、チャネル電流測定のための新たな入力として膜平行電圧印加可能な実験系を構築している。今年度は膜厚に着目した膜平行電圧の作用機構解明のために、チャネル開時間に膜厚依存性のある土壌細菌由来のモデルチャネルGramicidin Aを用いた電流測定を行った。また、イオンチャネルの構造複雑化に伴う高度化が必須であると考え、膜平行電圧源を直流から交流に発展させる目的で共同研究先である山形大学工学部廣瀬研究室に滞在し、周波数を選択できる交流膜平行電圧源を開発した。 第二に、計測ノイズを含む単一チャネル電流をイオンチャネルの開状態と閉状態に対応する2つの離散的なレベルに分類するプロセス(idealization)を開発している。従来手法においてはgating schemeやノイズ除去のためのフィルター強度などの事前のユーザー入力に結果が依存しやすいという問題があったが、開発した解析システムはユーザ入力なしにidealizationが可能である。疑似的に生成したイオンチャネル電流波形を対象に、上記手法及びidealization法のgold-standardとされる50%-threshold-crossing法を用いて平均開時間を算出して理論値と比較した結果、約80%のモデル電流データにおいて本手法による解析結果が優れていることが明らかとなった。上記の成果については現在peer review journalに投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
直流膜平行電圧が脂質二分子膜の物性に与える影響を膜厚だけではなく、膜張力の観点から評価する。具体的には膜張力を検出するとされている蛍光分子を用いて膜平行電圧が脂質二分子膜の膜張力に及ぼす影響を評価する。また、印加電圧波形を交流へと発展させ、膜張力の観点から周波数応答性を調査する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)