Project/Area Number |
22KJ0302
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Project/Area Number (Other) |
22J21828 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高澤 駿太郎 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | コヒーレントX線回折イメージング / その場観察 / X線光子相関分光法 / 単一粒子追跡法 / データクラスタリング |
Outline of Research at the Start |
コヒーレントX線回折イメージング(CXDI)法は、透過力の優れたX線をプローブに、バルク内部の微細構造を非破壊で観察する顕微法である。近年、走査型CXDIが空間分解能の高さと視野の広さから注目されているが、時間分解能が乏しく、試料の動的現象を捉える動的イメージングは困難であった。我々はこの課題を解決すべく、試料走査不要のシングルショット計測に基づくCXDI法開発に取り組んできた。本研究では、シングルショットCXDIの確立を目的とし、動的イメージングの実証とCXDI光学系の高度化を行う。そして、実試料観察への展開として、シングルショットCXDIをタイヤゴム中で運動するシリカ粒子の解析に応用する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)計測システムの高度化、(2)溶液試料を調製する環境の整備、(3)実試料のダイナミクス観察を実施した。 (1)本計測システムで達成可能な時空間分解能を向上させるために、試料面における入射X線強度の増強を図った。まず、回折効率の高いフレネルゾーンプレートを導入した。その後、光学系上流に配置した矩形開口のサイズを調整しながら適宜タイコグラフィ計測を実施し、入射X線強度と波面の安定性を評価した。X線強度を高めつつも、波面の安定性が保たれた条件へと開口サイズを最適化し、試料面での入射X線強度を~1x10^6 photons/sから~1x10^7 photons/sまで増強させた。加えて、前年度に導入したX線検出器の性能評価と制御に関するシステムの整備も引き続き実施した。 (2)高分子を含むコロイド水溶液から、真空乾燥により水分のみを揮発させ、粘度を調整する環境を整備した。加えて、調整した溶液内の粒子運動を暗視野顕微鏡で撮像・追跡することで粘度を算出する解析フローを整備した。当初はレオメータを用いた粘度測定を計画していたが、暗視野顕微鏡を用いた手法に変更することで、放射光実験環境に近い試料条件で粘度を測定できるようにした。 (3)局所加熱機構を備えた試料ホルダーを光学系へ導入し、Sn-Bi半田粒子の溶融過程の観察を実施した。直径約2 umのSn-Bi半田粒子を窒化ケイ素メンブレンに分散し、室温から共晶温度以上まで昇温させた。その間、試料からの回折像を連続撮像した。取得した回折像に反復的位相回復計算を実行し、試料像を再構成した。その結果、Snリッチ相とBiリッチ相の二つの固相に分かれた半田粒子内部の構造が、1秒以下の時間スケールで液相へと変化していく様子を捉えることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測システムの高度化および溶液試料の調製環境の整備を進めることができた。目的の時間分解能を達成するためには、試料への入射X線強度がまだ不足していることが分かったが、次年度に改善できる見通しが立っている。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
時間分解能(露光時間)0.1秒で、空間分解能10 nmを達成するためには、試料に入射する単位面積当たりのX線強度をさらに1桁増強させる必要があると分かった。フレネルゾーンプレートを用いた際の縮小倍率を変更し、試料に入射する単位面積当たりのX線強度を向上させる。その後、本計測法を用いた応用展開についての研究を進めていく予定である。
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