リチウム酸素電池実用化に向けたカソード極反応機構解明への挑戦
Project/Area Number |
22KJ0307
|
Project/Area Number (Other) |
22J21969 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神成 幸輝 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 電池 / 界面 / 反応機構解明 / 振動分光法 / 電気化学 / 物理化学 / 支持塩濃度 / グラフェン / 分光法 |
Outline of Research at the Start |
リチウム空気電池では電極材料に炭素が利用されるが、炭素電極表面で起きる反応が複雑であり理解が不十分である。そのためリチウム空気電池が抱える問題点が特定されず問題解決に至っていない。この炭素電極上で起きる複雑な反応を追跡する手法が確立されていないので、本研究では新規電極モデルの考案及び新規測定手法の確立を行い、反応機構解明に取り組む。得られた知見により電池の研究開発の指針が得られることが期待できる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代の電池として期待されるリチウム酸素電池について、カソード上の反応機構を分子レベルで解明することに挑戦している。振動分光法、特に表面増強ラマン散乱を利用した生成物や中間体の観測に基づく電極反応の基礎理解を通して、副反応の進行や不十分な充放電サイクル性などの問題点解決や性能向上などの研究開発に関わる指針を提示することを目指している。 採用二年目においては、炭素電極上での測定に挑戦した。リチウム酸素電池ではカソード側に多孔質炭素電極が利用されるが、炭素電極上では検出感度の不足から、充放電最中における生成物の観測などが困難であり、反応追跡は容易ではない。一つの案として、炭素電極のモデルとしてグラフェンを利用する系を構築し、グラフェン上で進行する反応を追跡することでその反応機構の考察を進められている。生成物の観測ができたので、妥当性や再現性について慎重に検討しつつ、炭素電極由来の副反応についても調査を続けている。また、別の案として、新たな測定技術の習得と導入にも努めた。中国に渡航することで測定技術について勉強し、基礎的な活用方法については会得した。この手法で炭素電極上の反応を高感度で測定できるようになることを期待しているが、まだ自身の測定系への応用は完了しておらず、今後も工夫と努力が必要になる。 他にも研究の幅を広げるために、アメリカにて室温ナトリウム硫黄電池の研究にも従事した。自身の培ってきた振動分光法と電気化学測定を組み合わせた測定手法が、リチウム酸素電池だけではなく、他の二次電池であるナトリウム硫黄電池にも活用できることを確認した。加えて、触媒や添加物の利用を含めて反応中間体の溶出機構についての調査にも貢献した。異なる電池研究で学んだ、添加物による反応性の制御や反応中間体の吸着に関する知見はリチウム酸素電池に関する本研究にも活用できると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炭素電極上の測定に難航している。生成物の観測等一定の進捗は生まれているものの、検討すべき点が残っている。グラフェンを利用した系においては、作成した基板の質が十分であることを慎重に検討することや、主反応だけではなく副反応の追跡にも注力する必要がある。新しい技術に関しては利用方法など基礎的な技術の習得はできたが、本研究の独自の手法への応用は完了していない。自身の系との相性や本研究において何をどこまで検出できるのかを確かめつつ応用方法を確立する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
一つは炭素電極上の反応機構解明について。前述のとおり、グラフェンを利用したモデルケースにおける測定に加えて新技術の応用により、炭素電極上での反応の進行について検討を進める予定である。技術の習得のため中国の厦門大学に訪問したが、その日程はコロナウイルス等の影響で当初の計画よりも遅れてしまった。採用二年目のうちに新技術を独自の系に応用し、何をどこまで観測できるかの検討を終えたかったが、その検討も採用三年目に行う必要がある。採用三年のうち最後の一年となるため、着地点を見据えながら炭素電極上での主生成物(過酸化リチウム)観測と副反応の追跡に努めたい。また、新技術に関しては炭素電極上への応用だけではなく、自身の培ってきたモデルケースである金属電極上での測定をステップアップさせるためにも有用であると見込めるため、計画に柔軟性を持たせながら検討・測定・考察を進めたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)