Project/Area Number |
22KJ0312
|
Project/Area Number (Other) |
22J22265 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川又 雅広 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 偏極中性子散乱 / スキルミオン / マグノンテクスチャ / 中性子散乱 |
Outline of Research at the Start |
磁性を担うスピン角運動量の流れ、スピン流はスピンの歳差運動によって伝播され、その回転方向(マグノン極性)と相関する。スピントロニクスデバイスの制御には、内部のスピンの向きや動きを精密に把握する必要があり、運動量QとエネルギーEに分解した微視的情報を得ることが重要である。中性子散乱実験における散乱面内方向のPx偏極法では、カイラル項から(Q,E)空間でのマグノン極性を直接決定できるが、その適用範囲は限られていた。本研究では、Px偏極手法と候補物質の優位性を活かし、スピンやマグノンが秩序化した空間分布(テクスチャ)を持つ、対称性スキルミオンとマグノンテクスチャの初検出を達成することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的はPx偏極手法による対称性スキルミオンやマグノンテクスチャ候補物質のマグノン極性の初検出である。 令和5年度は、候補物質に対しPx偏極手法を適用する前準備として、非偏極中性子回折や散乱実験を行うとともに、更なる候補物質の探索を行った。 (1)対称性スキルミオンの候補物質である希土類金属間化合物の単結晶の磁化、電気抵抗、ホール抵抗測定を行ったところ、磁場中での輸送特性の異常を確認した。ORNLのWAND^2で行った磁場中回折実験では、この異常がスキルミオンに由来する確証を得た。さらに高磁場領域までこの異常を追跡するため、オーストラリアANSTOのWOMBATにて高磁場中の中性子回折実験を行ったが、現状、十分な信号強度が得られていない。この状況を改善するために、ブリッジマン炉による単結晶の大型化に取り組んでいる。 (2)マグノンテクスチャの候補物質であるSr2MnSi2O7に対して行った中性子による単結晶中性子回折、非弾性中性子散乱実験の結果を解析している。さらに、他の候補物質であるBa2MnGe2O7やEu2MnSi2O7の中性子回折実験を行い、結果を解析している。Eu2MnSi2O7はこの物質で初となる微視的に磁気構造を同定することに成功した。これらは、結果がまとまったものから、論文を執筆中である。 今年度は対称性スキルミオンとマグノンテクスチャ候補物質に対するPx偏極実験に向けた知見を得ることができた。令和6年度はこれらの研究結果をもとに、Px偏極手法を駆使し、対称性スキルミオンとマグノンテクスチャ候補物質のマグノン極性の観測を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の進捗から、令和6年度は以下の3点を実施予定であった。 (1)モノアーク炉およびブリッジマン炉、テトラアーク炉による対称性スキルミオンやマグノンテクスチャの候補物質の単結晶育成及び新たな候補物質の探索を行う。(2)対称性スキルミオンの存在を確認するために、磁場中中性子回折実験を行う。(3)マグノンテクスチャ候補物質のPx偏極実験に向けた準備を行う。 本年度の実施状況は、 (1)今年度は、マグノンテクスチャ候補物質の姉妹物質の作製で成果を得た。特に、Eu2MnSi2O7に関しては、中性子回折実験から磁気構造を同定した。現在、論文を執筆中である。(2)輸送特性からスキルミオン相の兆候を得ていた温度磁場領域において、オーストラリアANSTOの中性子回折装置WOMBATで実験を行った。試料サイズが十分でなかったことで僅かな磁気反射しか得られず、スキルミオン相を追うには不十分であった。このため、試料の大型化を目指しブリッジマン炉による試料合成を引き続き行っている。(3)マグノンテクスチャ候補物質であるSr2MnSi2O7に対してANSTOの非弾性装置SIKAを使い、偏極実験のための予備測定を行った。結晶の軸立てなどに問題が見つかったが、次年度のビームタイムに向け引き続き準備を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)ブリッジマン法により、対称性スキルミオンの候補物質である希土類金属間化合物の単結晶の高品質化、大型化を目指す。並行して、これまで報告のない結晶場励起を調べるべく、JRR-3 TOPANにて非弾性中性子実験を行う。ビームタイムは確保済みである。 (2)マグノンテクスチャ候補物質のマグノン極性を明らかにするため、Sr2MnSi2O7に対して偏極中性子散乱実験を行う。本年度1週間程度のビームタイムを確保済みである。 (1,2)更なる候補物質(対称性スキルミオン、マグノンテクスチャ)の探索のため、いくつかの物質の多結晶試料を作製し、中性子粉末回折実験を行う。
|