Project/Area Number |
22KJ0326
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Project/Area Number (Other) |
22J00417 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荘司 一歩 山形大学, 山形大学人文社会科学部, 講師
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | アンデス / モニュメント / 資源利用 / 廃棄物 / 環境変動 / 考古学 / 公共建造物 |
Outline of Research at the Start |
アンデス文明の形成過程を解明しようとする研究の多くは、神殿が建設され始める形成期(3000-50BC)に着目してきた。これに対し本研究は、古期(5000-3000BC)に焦点を当て、なぜ神殿のようなモニュメントが建設され始めるのかという根本的な問題に取り組む。申請者は、ペルー北海岸の古期を対象に廃棄物の集積であるマウンドが環境変動を契機にモニュメントへと変容していく過程を明らかにしてきたものの、神殿の出現は中央海岸に比べて遅く、そこに系譜的な関係が認められるのか定かではない。本研究では中央海岸における古期のマウンドに焦点を当て、両海岸地域を比較することで、モニュメントの創出過程を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
二年目にあたる本年度は、ペルー中央海岸の先土器時代の遺跡を対象とした発掘調査を実施した。4月―7月にかけて、現地の研究協力者と調整を行いながら、ペルー文化省への発掘調査の申請手続きを実施するなど、発掘調査にかかわる事前準備を進めた。8月―9月にかけてペルー共和国に渡航し、プラヤ・クレブラスI遺跡とII遺跡を対象とした発掘調査を実施し、考古遺物や調査データの整理作業を経て、10月-12月にかけて発掘報告書の作成と文化省への提出事務作業を行った。 第1次発掘調査の目的は、遺跡の建設年代と遺跡の形成プロセスを解明することであり、調査の結果、両遺跡はともに先土器時代に建設された神殿遺跡(モニュメント)であったことが確認された。また、神殿は度重なる改築と建築物の更新作業を経て形成されていたことが明らかとなり、同時代の神殿建築に共通する特徴が認められた。調査の過程で収集した炭化物や植物遺存体を測定試料として、年代測定を実施中である。繰り返される建設過程の中で、大量の動植物遺存体などの食料残滓や釣り針、狩猟用の尖頭器などが、基壇を埋め立てる建築材として利用されていることが明らかになった。日々の生活残滓を建築材としたモニュメントの生成過程が、これまでに実施してきた古期の北海岸のマウンド遺跡の調査から示唆されており、プラヤ・クレブラス遺跡の神殿建築においても同様の状況が確認されたといえる。そのため、今回入手した調査データは、プラヤ・クレブラス遺跡の調査と出土遺物の分析から、北海岸と中央海岸の初期モニュメントの生成過程の共通点と差異を明らかにするうえで重要な位置づけにあるといえ、本研究課題に迫るための見通しを得ることができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発掘調査の結果、両遺跡はともに先土器時代に建設された神殿遺跡(モニュメント)であったことが確認され、年代測定のための試料のサンプリングも順調に進めることができた。プラヤ・クレブラス遺跡は、これまでに精緻な調査報告が行われてこなかった遺跡であることから、本調査で得られた知見は遺跡の利用時期を策定するための基礎的なデータとして大きな意義を持つ。また、調査によって確認された繰り返される建設過程の中では、大量の動植物遺存体などの食料残滓や釣り針、狩猟用の尖頭器などが、基壇を埋め立てる建築材として利用されていることが明らかになった。日々の生活残滓を建築材としたモニュメントの生成過程が、これまでに実施してきた古期の北海岸のマウンド遺跡の調査から示唆されており、プラヤ・クレブラス遺跡の神殿建築においても同様の状況が確認されたといえる。そのため、今回入手した調査データは、プラヤ・クレブラス遺跡の調査と出土遺物の分析から、北海岸と中央海岸の初期モニュメントの生成過程の共通点と差異を明らかにするうえで重要な位置づけにあるといえ、本研究課題に迫るための見通しを得ることができたといえる。以上のことから、本研究計画は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、プラヤ・クレブラス遺跡において第二次発掘調査を進めるとともに、出土遺物の分析作業を進めていく予定である。発掘調査では、プラヤ・クレブラスI遺跡における建築プランおよび、その通時的な変化を年代学的なデータとともに明らかにすることが目的となる。また、居住域と想定されている区域の発掘調査を実施し、神殿域とのデータの比較を行う。居住域から出土した考古遺物を含め、石器や骨器・貝器、動植物遺存体の分析作業を進めることで、通時的な資源利用の変化を明らかにする。すでに明らかになっている環境変動との関係や、モニュメント建築の通時的な変化を照らし合わせ、資源利用・モニュメント建設・環境変動の三者の関係を明らかにする。最終年度であるため、これまでのデータの統合や成果公開を積極的に行い、本研究課題の解明に取り組む。
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