Project/Area Number |
22KJ0337
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Project/Area Number (Other) |
21J00226 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北園 智弘 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 睡眠 / シグナル伝達経路 / キナーゼ / AMPK |
Outline of Research at the Start |
睡眠は生命の維持に不可欠な生理現象である。覚醒と睡眠は、起きている間に蓄積し、眠ることで解消する睡眠要求(≒眠気)によって制御されると考えられているが、この睡眠要求の実体は未だ明らかになっていない。申請者の所属研究室では、これまでにセリンスレオニンキナーゼSIK3がこの睡眠要求を制御する因子であることを見出している。そこで、本研究では、SIK3の上流、および、下流のシグナル伝達経路の全容を明らかにすることで、睡眠要求の分子実体を解明することを目的としている。これまでに申請者は、SIK3の上流制御因子セリンスレオニンキナーゼLKB1と、下流因子低分子量Gタンパク質RhoAを新規に発見している。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者が所属する研究室において近年発見された新規睡眠制御分子SIK3の上流、および、下流のシグナル伝達経路の全容を明らかにすることを目的としている。 申請者は睡眠覚醒制御機構におけるSIK3の上流制御因子の候補として、セリンスレオニンキナーゼLKB1に着目した。LKB1ノックアウトマウスの睡眠測定を行ったところ、顕著なノンレム時間の減少と睡眠要求の減少が見られた。さらに、LKB1ノックアウトマウスにおいて、SIK3上のLKB1リン酸化部位に疑似リン酸化変異を導入したマウスでは、この睡眠要求の減少が回復することも明らかにした。これらの結果から、睡眠覚醒制御機構において、LKB1がSIK3の上流で機能していることが確かめられた(Kim SJ, Kitazono T et al., Nature, 2022)。 申請者はこれまでにin vitro基質スクリーニングを用いて、睡眠覚醒制御機構におけるSIK3の基質を探索し、複数の新規基質候補を同定しており、これらの候補は多くが、RhoA-GTPase関連因子である。さらに、スクリーニングで同定した新規基質候補のうちの1つが、SIK3リン酸化配列と非常に似たアミノ酸配列を持つRho-GEFであり、このリン酸化部位を認識する抗リン酸化抗体を用いて解析を行ったところ、このRho-GEFがSIK3の新規基質であることが確かめられた(以下、Rho-GEF Xと呼称する)。また、Rho-GEFのターゲットであるRhoAについて、恒常的活性型RhoAをマウスの全脳にウイルスを用いて投与したところ、ノンレム睡眠時間が有意に減少することも見出した。このことから、SIK3の下流でRhoAが睡眠・覚醒を制御している可能性が高いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項に記載したように、睡眠覚醒制御機構において、LKB1がSIK3の上流で機能していることを、マウスの脳波・筋電図測定による睡眠測定によって示し、これをNature誌にて発表した(Staci, Kitazono, et al, Nature, 2022)。また、SIK3の新規基質を同定し、さらにその下流でRhoAが機能していることも明らかにした。現在、さらにRhoAの下流因子の候補についても、睡眠制御への関与を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究におけるin vitro基質スクリーニングで同定した残りのSIK3の基質候補について、キナーゼアッセイを行うことによって、SIK3によってリン酸化されるのかを検証する。これらの基質のSIK3リン酸化部位について、抗リン酸化抗体を作製し、SIK3とこの基質を培養細胞に共発現させた際に、この基質のリン酸化レベルが上昇するかを検証する。さらに、Sik3恒常的活性型変異型マウス脳において、これらの基質のリン酸化レベルが上昇しているかを検証する。これらの解析により、in vitro基質スクリーニングでリストアップした候補タンパク質の中からSIK3の新規基質を同定する。 上記の方法で新規同定した基質とRho-GEF Xについて、ドミナントネガティブ変異を導入した変異型産物をマウス全脳に導入するか、全脳でRNAiを行った際に、睡眠行動に変化が見られるかを検証する。この解析により、SIK3の新規基質の中から、睡眠・覚醒制御機構において、SIK3とRhoAを繋ぐ分子を同定する。 さらに、RhoAは何種類かの分子の調節因子として機能しているが、その中でも主にRhoキナーゼ(ROCK)とmDia(mammalian Diaphanous)の2種がRhoAの主たる標的である。そこで、これらの分子について、阻害剤の投与や、ドミナントネガティブの発現、RNAiなどを行ったマウスについて睡眠測定を行い、これらの分子がRhoAの下流で睡眠・覚醒を制御しているのかを検証する。以上の解析により、SIK3に端を発する睡眠・覚醒制御シグナル伝達経路の全容を明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)