Project/Area Number |
22KJ0451
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Project/Area Number (Other) |
22J01269 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Tokyo University of Science (2023) Saitama University (2022) |
Principal Investigator |
上村 卓矢 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 揮発性有機化合物 / シロイヌナズナ / カルシウムシグナル / イメージング / カルシウムチャネル |
Outline of Research at the Start |
植物は害虫などに食害されると、大気中に多様な揮発性成分(匂い)を放出する。このような匂い物質は周辺生物との相互作用に重要な役割を果たす。特に、未加害の周辺植物がこれらの匂い成分を受容すると、その植物個体は害虫に対する抵抗性を上昇させることができる(植物間コミュニケーション)。しかしながら、植物がどのように気相中を不規則拡散する匂い物質を受容するのかはほとんど明らかになっていない。そこで本研究では広視野高感度なイメージングシステムを利用し、植物の匂い受容プロセスを時空間的に理解することで、植物の匂い感知機構の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
害虫食害を受けた植物から放出された香気成分を受容した近隣の健全植物では、害虫抵抗性が誘導される(植物間コミュニケーション現象)。しかしながら、植物がどのように匂い物質を受容し、その情報を防御シグナルへと変換するのかという植物の匂い感知システムについては未解明な部分が多い。本研究では、植物の匂い応答を時空間的に明らかにしつつ、匂い応答を制御する分子の単離を目指す。これまでにカルシウムバイオセンサーであるGCaMP3を発現したシロイヌナズナを用いて、みどりの香り成分である(Z)-3-ヘキセナールがシロイヌナズナに迅速なカルシウムシグナルを発生させることを明らかにしており、昨年度はシロイヌナズナの(Z)-3-ヘキセナール応答を細胞レベルで可視化し、気孔の役割を明らかにした。ここまでの結果を原著論文としてまとめ、発表した。 また、シロイヌナズナの(Z)-3-ヘキセナール応答を制御するカルシウムチャネルの単離を目指し、CRSIPR-Cas9システムを用いた候補遺伝子の二重変異体の作出に取り組んだ。現在、当該二重変異体における(Z)-3-ヘキセナール誘導性カルシウムシグナルの解析を進めている。さらに、GCaMP3発現シロイヌナズナに対してEMS変異原処理を行い、(Z)-3-ヘキセナール応答能が低下した系統を複数種単離していたが、昨年度はM3植物体に対してMutmap法を用いた全ゲノムシークエンス解析を行った。その結果、変異系統におけるDNA変異箇所の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、シロイヌナズナにおける(Z)-3-ヘキセナール誘導性カルシウムシグナルを細胞レベル、組織レベルでリアルタイムに可視化した。変異体や薬理学的な手法を用いることで、当該応答には気孔が重要な役割を果たすことを明らかにした。ここまでの研究成果を論文として報告することができた。 また、当該応答を制御するカルシウムチャネル遺伝子を単離するために、候補遺伝子の変異体作出およびGCaMP3の形質導入を試みていた。しかしながら、候補遺伝子の単一欠損株におけるカルシウムシグナルは野生株と有意な差が観察されなかったことから、CRISPR-Cas9システムを利用した二重遺伝子欠損株の作出を進めてきた。未だにカルシウムチャネル遺伝子の選抜は達成できていないものの、現在までにGCaMP3発現二重変異体が複数系統において作出できている。 さらに、GCaMP3発現シロイヌナズナにEMS変異原処理を行い、M2植物体において(Z)-3-ヘキセナール誘導性カルシウムシグナルを大規模に解析し、候補系統のスクリーニングを昨年度から実施してきた。野生株と比較してカルシウムシグナルが変化していたものが複数系統単離されたため、M3植物をMutmap法を利用した全ゲノムシークエンス解析に供した。その結果、各系統においてDNA変異領域が異なることがわかり、現在候補遺伝子の選抜に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はCRISPR-Cas9システムによって作出したカルシウムチャネル二重変異体における(Z)-3-ヘキセナール誘導性カルシウムシグナルを解析する予定である。作出系統の中に、野生株と比較してカルシウムシグナルが減衰するものがあれば、当該系統における(Z)-3-ヘキセナール誘導性電気シグナルや防御遺伝子発現等を解析する予定である。候補二重欠損体において有意にカルシウムシグナルが変化したものが検出できなかった場合、さらに三重変異体の作出にも着手する。 MutMap法を用いたENS処理系統の全ゲノムシークエンスを行ったことで、各系統においてDNA変異が確認された領域を絞り込むことに成功した。当該領域には多くの遺伝子が配置されていることから、カルシウムシグナルの発生への関与が示唆される遺伝子のT-DNA挿入株をABRCから入手する。これらのT-DNA挿入株にGCaMP3を発現させ、(Z)-3-ヘキセナール誘導性カルシウムシグナルを解析する。
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