有理写像の高次力学系次数の計算および安定化問題の部分的な解決
Project/Area Number |
22KJ0499
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Project/Area Number (Other) |
20J23094 (2020-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2020-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
LEE Chunghyun 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2023: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 力学系次数 / K-不変部分空間 / 積公式 / モノミアル写像 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、まずKと呼ばれる有理写像の高次力学系次数の計算へ取り組む。力学系次数とは一つの数学的な不変量であり、対応する物理系の様々な力学的情報を含んでいることが知られている。最初は不等式による評価を行う。それから計算機を用いて一般項を予測し、検証する。 しかし力学系次数は一般的に計算複雑性が高く、数値計算が難しい。よって計算の前処理として対象となる有理写像Kを巧妙に変換し、その計算複雑性を下げる操作が必要となる。これは力学系理論において安定性問題と呼ばれる重要な課題である。そして有理写像Kに対する安定性問題の解法が他のケースにも適用できるか確かめることで、安定性問題への部分的な解決を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は有理写像の高次力学系次数の計算および安定化問題の部分的な解決であり、本年度(博士課程2年目)の研究目標は計算に適切なK-不変部分空間を見つけ、制限された高次力学系次数を求めること、及び有理写像Kの双有理変換による安定性問題および数値的な計算に取り組むことであった。しかし結果として上記の空間に対して高次力学系次数を求めること、及び双有理変換を通じて有利写像Kの安定モデルを構成することに失敗した。来年度は本年度の問題点を改善することにつれて、有理写像Kに対する安定化問題の解法が他の安定化問題にも適用できるか研究することを目標としている。 研究方法に関しては、1)巡回行列部分空間、2)巡回かつ対称行列部分空間などの数値計算の可能性のあるK-不変部分空間に注目し、制限された高次力学系次数を求めることで始まった。基本的なアイデアはBedford, E., & Kim, K (2004) やBedford, E., & Kim, K (2005) などの論文を参照した。そして安定性問題に関しては双有理変換を通じて安定モデルを確立し、計算機で数値計算を行い、力学系次数の一般項を予測することを目標にした。これで有理写像Kの高次力学系次数に関する有意味な不等式評価が得られる。この方法は Bedford, E., & Truong, T. T (2010) などによる先行論文を参照した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず本年度は計算に適切なK-不変部分空間を見つけ、制限された高次力学系次数を求めること、及び有理写像Kの双有理変換による安定性問題および数値的な計算に取り組むことが目標であった。特に1次力学系次数を計算した先行研究に注目し、可能性のあるK-不変部分空間として1)巡回行列部分空間、2)巡回かつ対称行列部分空間を本研究で扱うことにした。そして安定性問題に関しては双有理変換を通じて安定モデルを確立し、力学系次数の一般項を予測することを目標にした。(Bedford, E., & Truong, T. T (2010) などの結果を参照) しかし結果として上記のK-不変部分空間に対して高次力学系次数を求め、他の対称性を追加しながら計算複雑度を調整すること、及び双有理変換を通じて有利写像Kの安定モデルを確立することに失敗した。本年度の研究目的を達成できなかった理由について次の問題点が挙げられる。(1) まず上記の2つの対称性は高次力学系次数の増加する複雑度までカバーできなかった。(2) 他の対称性を追加しながら計算の複雑度を調整してみたが、空間を制限しすぎて殆ど自明な場合になってしまい、結果が意味を持たなくなった。(3) 双有理変換を使った有利写像Kの安定モデルの構成が簡単ではなかった。 来年度は有理写像Kの双有理変換による安定化問題の解法が他の安定化問題にも適用できるかを研究する予定だったが、上記の問題点を先に解決しなければならない。そのためには、まず双有理変換を使った安定モデルの構成に関するより一般的な方法論を考察する必要があると思われる。以上の理由で現在の研究進捗状況は、本来想定していたのよりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は有理写像Kの双有理変換による安定性問題を解決してより一般的な安定化問題への拡張可能性を研究する。安定性問題に関しては基本的に Bedford, E., & Truong, T. T (2010) や Favre (2002) などの先行論文を参照する。安定モデルはその力学系次数の数値計算が容易であり、力学系次数の一般項が予測できるようになることに重要性がある。 まず、来年度では) 双有理変換を使った有利写像Kの安定モデルの構成が第一の目標である。そのためには安定モデルの構成に関するより一般的な方法論を勉強する必要があり、基本的にはFulton, W: Intersection theory (2013) などの交叉理論に関する本と Bedford, E., & Truong, T. T. (2010)、 Lin, J. L. (2010)のアイデアを参考にする。安定モデルの構成で、本年度の研究の問題点が解決したら一般的な安定化問題への拡張可能性へ取り組む。対象となる射影空間や有理写像をコントロールすることがキーポイントとなると予想される。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)