Project/Area Number |
22KJ0504
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Project/Area Number (Other) |
20J40156 (2020-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2020-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 42030:Animal life science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棟朝 亜理紗 (2020-2021, 2023) 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Research Fellow |
棟朝 亜理紗 (2022) 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 社会的緩衝作用 / 前嗅覚後部複合体 / 扁桃体 / オピオイド |
Outline of Research at the Start |
本研究では社会的緩衝作用のモデル動物を用いて、前嗅覚後部複合体(AOP)が扁桃体を抑制する詳細な神経メカニズムを明らかにし、社会的緩衝作用のメカニズムを解明する。そのために、扁桃体に投射するAOPに発現するニューロン(AOPニューロン)のパターンの同定および解剖学的情報を収集する。さらに、社会的緩衝作用に関わる神経伝達物質の役割を検討する。 また、社会的緩衝作用を理解するうえでフェロモン情報処理のメカニズムも理解しておくことが大切であるため、フェロモン受容体の探索を同時に行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、大災害やテロなどにより不安障害や恐怖症、心的外傷後ストレス(PTSD)が引き起こされ、その結果引きこもり状態になってしまうことが社会問題として取り上げられている。この治療法として、対象となる刺激を繰り返し想像させたり、実際に暴露させたりすることで恐怖記憶の消去学習を成立させるエクスポージャー法が用いられている。しかし、この治療法には患者が強いストレスを感じたり、治療効率が悪かったりなど問題点があり、ストレスフリーな新しい治療法の開発が必要である。そこで、動物がストレス環境下に暴露された際に同種他個体が存在するとストレスが軽減される社会的緩衝作用に着目した。社会的緩衝作用の中に見知らぬ個体間での社会的緩衝作用があり、これは動物の社会性を理解するうえでより重要な生物学的意義を持つ現象であると考える。本研究では、この見知らぬ個体間での社会的緩衝作用のメカニズムの解明を目的としている。 本研究では社会的緩衝作用のモデル動物を用いて、前嗅覚後部複合体(AOP)が扁桃体を抑制する詳細な神経メカニズムを明らかにし、社会的緩衝作用のメカニズムを解明する。 今年度は、社会的緩衝作用にオピオイドが関わっている可能性をより深く探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、ナロキソン(オピオイド受容体拮抗薬)をラットに腹腔内投与をすると条件づけ恐怖反応が増加することを明らかにした。この結果は、オピオイドが社会的緩衝作用に関わっていることを示唆する。 このナロキソン投与による条件づけ恐怖反応の増加が、社会的緩衝作用が阻害されたものであることを裏付けるための実験を行った。ナロキソンまたは生理食塩水を腹腔内投与したラットを用いて、オープンフィールド試験を行い、活動量と不安行動量を2群間で比較をした。その結果、2群間に運動量も不安行動量も有意な差は認められなかった。この結果は、運動量が低下したり、不安行動量が増加したりしたことで条件づけ恐怖反応の増加が生じたわけではないことを意味しており、オピオイドが社会的緩衝作用に関わっていることをより強く示唆する結果と言える。 次に社会的緩衝作用時にオピオイドが作用する脳領域を探るため、ナロキソン投与により条件づけ恐怖反応が増加したラットの脳切片に対して、神経活動マーカー(Fos)に対する免疫組織化学染色を行った。その結果、ナロキソン投与群では生理食塩水投与群に対して、視床下部室傍核ではFos発現が増加、側坐核・前帯状皮質・島皮質ではFos発現が減少していた。側坐核では有意差は認められなかったが、Fos発現の減少傾向が見られた。これらのナロキソン投与によりFos発現に変化が見られた脳領域は、オピオイドを介した社会的緩衝作用の調節に関わっている可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
AOPニューロンの投射先の解析を行うために、以下の実験を行う予定である。これまでの実験で決めたAAV投与条件を利用して、AOP特異的に順行性神経トレーサーを投与し、蛍光シグナルがどの脳領域に発現しているかを観察することでAOPニューロンの投射先を明らかにする予定である。さらに、AOPニューロンのパターン(興奮性または抑制性)を調べる。順行性神経トレーサーを投与したラットの脳切片に対して、vGLUTまたはGABAに対するin situハイブリダイゼーションを行い、AOPニューロンがグルタミン酸作動性なのか、GABA作動性なのかを明らかにする予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)